研究課題/領域番号 |
18K01370
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
岩志 和一郎 早稲田大学, 法学学術院, 名誉教授 (70193737)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 子の福祉 / 児童虐待 / 少年援助法 |
研究実績の概要 |
新型コロナによる海外出張が困難となり、予定していたドイツ国ベルリン州市およびブランデンブルグ州(ポツダム市)の子ども家庭の早期支援に関する現地調査を実施することができなかった。 上記理由から、作業の重点を、前年度から開始していたバーデン=ヴュルテンベルグ州の児童の権利委員会最終報告書及びそれと関連する資料の解読に移した。同報告書は、州レベルの報告書であるが、ドイツでは少年援助は連邦法で大枠を定め、詳細は州法に授権されているため、州内で生じた虐待事件(性的虐待)に対する対応の検証を通じ、州の児童虐待対応の不備な部分の指摘と、連邦法及び連邦の施策に対する改善提案がなされている。わが国でも現在、こども庁を創設し、こどもに対する対応行政の一本化が提案されているが、すでに少年援助法によってそれが実施され、実務においてもシステムとして実現が試行錯誤されているドイツの状況をうかがい知る貴重な資料であると考える。 上記報告書の解読と並行して、10年前に科研費研究として行い、報告書として出版したドイツ少年援助法翻訳の改訂を開始した。上記翻訳後、少年援助法は数次にわたる改正を経ており、今回の報告書の解読あるい調査に使用するには不都合も多くなっているからである。すでに報告書の解読に合わせて、必要条文についてはそのたびごとに新たに翻訳をしているが、今年度はこれを少年援助法全体にわたって行う計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍による海外出張困難により、当初計画していたドイツ国ベルリンでの聴き取り調査を行うことができなかった。そのため計画を大幅に変更し、子どもの権利保障に関する立法による保障や、州の児童虐待対策の調査に関する文献調査に当たらざるをえなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度もし可能となれば、ドイツ及びオーストリアでの聴き取り調査に当たりたい。その場合には、すでに予定していた実態調査が時期的に機を逸していることを踏まえ、より大局的に子どもの権利保障と児童虐待防止システムという方向に重心を移す必要があると考えている。この点については、すでに昨年度ドイツの連邦=州=共同作業グループの報告書などを検討してきており、それを基礎に研究を進めたい。 本年度は研究最終年度となることから、上記の研究と並行し、ドイツの少年援助法の翻訳の改訂を完成させたいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
ドイツ国での出張聴き取り調査を計画していたが、コロナ禍でこれを実施することができず、この分予定していた費用を繰り越したため。
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