本研究では,債権譲渡に関する法改正の日仏比較を中心に検討した。債務者への通知・承諾を対抗要件とする日本民法の規律は,フランス法に倣ったものであるが,フランスではこれを廃止し,公示を問題としない制度に移行した。このことは,今後わが国の解釈論・立法論を考えるうえでも影響を及ぼすと思われる。また,譲渡制限特約に関して,フランスは日本の改正法以上に債権譲渡を促進する規律になっており,日本でも特別法の制定などによって譲渡を容易にすることも検討されてよい。さらに,将来債権譲渡に関してフランスでは倒産法との関係を意識した改正が行われており,これはわが国における担保法改正の議論にも示唆を与えるものである。
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