研究課題/領域番号 |
18K01375
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
渡邉 泰彦 京都産業大学, 法学部, 教授 (80330752)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | LGBT / SOGI / 同性婚 / 同性の両親 / 性別違和 / 性同一性障害 / 生殖補助医療 |
研究実績の概要 |
本研究は、(1) 同性カップルによる婚姻・パートナーシップ、(2)同性カップルによる実親子関係、(3) 性別の変更の3点から、2人の父母を越える性別組合せと人数を題材に、法律における家族概念の拡張について研究を進めている。 (1)同性カップルによる婚姻については、2017年7月に法律が可決、10月に施行されたドイツについて、マスコミ報道から政治的背景を明らかにするという手法で検討を行った。オーストリアについては、同性婚導入を決定づけた憲法裁判所2017年12月4日判決の検討を行っている。 (2)同性カップルによる実親子関係では、オランダ法について、2018年9月10日から19日まで現地調査を行なった。法務省において、男性カップルと女性カップルの4人による親と子の関係を提案する報告書「21世紀の親子」について担当者にインタビューした。また、女性カップルの一方が友人男性から精子提供を受けて子を出産し、養育する当事者から、その過程、子育てについてインタビューを行った。 (3)性別変更については、性同一性障害者の性別の取扱いに関する特例法(以下、特例法とする。)3条1項4号(生殖不能要件)の合憲性に関する最決平成31年1月23日を検討した。最高裁の結論とは反対に4号を削除するとした場合には、生殖能力を維持した女性が性別変更により男性となって子を出産することが生じうることになり、法的に両親が同性となることがある。比較法研究として、同様の事案について、ドイツでは連邦通常裁判所2017年9月6日決定の検討を進めている。また、第3の性別についても、オランダ法務省の身分登録の担当者にインタビュー調査を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度は、本研究の初年度であり、これまでの研究をまとめることだけではなく、次年度以降に向けて広く資料を収集し、整理することに力を注いだ。特にオランダの現地調査では、報告書「21世紀の親子」の概要、背景を担当者から聞くことができ、さらに、オランダで生活する当事者からの話を聞くことで、実際の状況との結びつきを知ることができたことは、今後の報告書の検討にとって重要な機会となった。 その他に、研究計画策定後に生じた新たな状況に対応することが求められた。とりわけ、最決平成31年1月23日は、性別変更と家族について日本において具体的に検討する素材を提供するものであったため、判例評釈の執筆を優先させた。これにより、今後の比較法研究と日本法との関連を明確にすることができた。 2019年度以降に研究成果を公表するための準備は整いつつあり、研究は概ね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度以降は、ドイツ法、オーストリア法、オランダ法の比較法研究を進めていく。 (1)同性カップルによる婚姻では、引き続きオーストリアにおける同性婚の導入について、憲法裁判所決定のみならず、立法資料を収集し検討する。(2)同性カップルによる実親子関係では、ドイツでは判例が蓄積されており、その整理と紹介を優先して行う。新たに、同性カップルと実親子法に関する2019年3月18日のドイツ連邦議会法務委員会公聴会での鑑定意見の検討を行う。また、オランダ報告書「21世紀の親子」については、2018年度の現地調査の成果を踏まえて、その内容を引き続き検討していく。(3) 性別の変更については、日本での裁判例の展開を検証する。それとともに、第3の性別の導入に関して、ドイツの立法、オーストリアの判例と立法の資料を収集し、その成果の公表に向けて研究を継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
Kluwer社のデータベースを当初のコンメンタールのみ利用可能なものから、判例集・雑誌など利用で切りものに変更したため、使用料が当初よりも約10万円増加したが、データベースを利用した結果、オランダ法の資料購入に当てる費用が少なくすんだため。 来年度は、消耗品の資料費の一部と合わせてデータベース費用の補充に当てる。
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