研究課題/領域番号 |
18K01375
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
渡邉 泰彦 京都産業大学, 法学部, 教授 (80330752)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 家族法 / SOGI / LGBT / 同性婚 / 性別違和 / インターセックス |
研究実績の概要 |
ドイツ連邦法務・消費者保護省に設けられた「ワーキンググループ実子法」が2017年7月に公表した「最終報告書」とこれをもとにして同省が2019年3月13日に公表した「討議部分草案 実子法改正法草案」の内容を比較検討し、「ドイツ実子法改正の動向: ワーキンググループ実子法から討議部分草案まで」 産大法学54巻2号325-425頁において、詳細を紹介した。ここでは、女性カップルがともに子の実親となるコマザー制度の導入、意思に基づく実親子関係の設定など、実子法改正作業を行っている日本への示唆を与える内容のものである。また、現行法、討議部分草案、緑の党提出法案の条文の比較、ワーキンググループ実子法最終報告書における91のテーゼについて「ドイツ実子法改正討議部分草案条文対象表」産大法学54巻2号479-534頁で翻訳・紹介した。 日本の性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律が抱える問題点について、「『性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律』の概要と問題点」ケース研究340号18-51頁 (2021年2月)では、性別変更の要件について、特例法の立法時点での性別違和に対する理解が現在も維持することはできず、現状に合わせた法改正が必要であることを述べた。そのうち、最決令和2年3月11日(裁判所HP)が非婚要件を合憲としたことについて、「性別変更における非婚要件の要否」新・判例解説Watch vol.27(2020年10月)95-98頁で批判的に検討した。 性別変更と第3の性別に関して「個人の尊厳とセクシュアリティの多様性」編集代表 二宮周平、編集担当 棚村政行『現代家族法講座第1巻 個人、国家と家族』日本評論社 (2020年)327-358頁において、外国法との比較検討をとおして、特例法の改正と第3の性別を戸籍に記載することの必要性について日本における展開の方向性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウイルスの影響で海外出張ができない状況が続き、資料収集が計画通り進まない状況が続いている。2020年8月までのドイツでの在外研究により、ドイツ法との比較法研究の資料は収集できた。だが、オランダ法については、日本の図書取次店がオランダの出版社との取引を現在はしておらず、新たな書籍を購入することが困難な状況となっている。また、大学においてオンライン授業に対応するために多くの時間を必要としたために、研究のエフォートを実際上圧迫したことは否定できない。 他方において、研究テーマが現在進行している問題であるため、研究計画作成時点と比較して日本をはじめ各国の状況が変化しており、これに対応するために追加的な研究が必要となった。この点については、本年度一定の成果をまとめることで解決している。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を延長し、令和3年度にこれまでの研究の成果をまとめていく。本研究開始後に、比較法の対象としていた国の一つであるドイツで立法作業が進展し、その内容の検討に注力していく。それに対して、オランダ法との比較法研究については、新しい資料を入手することが以前に比べて難しくなっていることから、比較法研究の重点をオランダ法からドイツ法に移す。 海外での資料収集を計画しているが、コロナ禍のため実施できるか先行きが不透明である。日本と渡航先の状況に注意を払いつつ、海外渡航が実際上不可能となった場合における、代わりの資料収集の方法について検討する。 まずは、同性カップルと親子関係について、ドイツでの立法状況、オーストリアのその後の進展、スイスの状況についてまとめていく。とりわけ、スイスは同性婚が導入されることが決まり、基礎的な状況の変化を踏まえつつ研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年9月から2020年8月までのドイツでの在外研究、2020年からのコロナ禍により海外出張を行うことができず、資料収集も計画通りに進まなかったために、計画通りに予算を使用することができなかった。 次年度は、海外出張を差し控える状況が続くことも考慮に入れて、図書などの資料の購入、コンピューターのOSソフトのバージョンアップに伴い従来通りの使用に対応できなくなった機器の取り替えを早急に進めていく。
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