研究課題/領域番号 |
18K01379
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
山田 到史子 関西学院大学, 司法研究科, 准教授 (30289029)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | CISG / 民法債権法改正 / 比較法 |
研究実績の概要 |
今年度は、コロナがやっと収束して海外出張が可能になり、ドイツマックスプランク研究所とウィーン大学に、調査・研究に行くことができ、大きな成果を得ることができた。ドイツでは、マックスプランク研究所等で、同所長であったProf.Zimmermann らと研究打合せができ、ヨーロッパの最新情報に関して意見交換ができた。またウィーン大学で開催された、テーマ「批准から50年を経過したCISGの最新の状況」のシンポジウムに参加し、世界のCISG研究者と情報交換でき、最新の状況を確認しながら、議論することができた。 また、これらの成果を踏まえて全体の研究成果を整理・検討・分析するために、日本で開催を予定しているシンポジウムのための予備調査・事前打合せ・確認もできた。 なお、研究の最終年度をコロナの影響で延期したので、今年度迄の研究業績で出版社の事情等で出版が遅れていたものについて、ここで一旦訂正をしておきたい。出版事情で遅れていた、①「預貯金債権の共同相続」深谷格・金子敬明他編著『生と死の民法学』333頁は、2022年11月出版、②『判例プラクティス民法Ⅱ債権第2版』は、2023年出版。また、海外調査ができなかったことにより遅れていた③「グローバルスタンダードとしての国際物品売買法CISGに対する民法改正法の位置づけ」は、74号2巻(2023年)出版に訂正となる。なお、④「請負人の瑕疵担保責任における『瑕疵』概念」河上正二・沖野眞己編、別冊ジュリ249号『消費者判例百選第2版』170頁(2020年)は、令和元年実施報告書掲載分を校正段階での出版社からの表題変更依頼の為、表題を訂正したものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナのために、海外出張ができず、調査研究が大幅に遅れたため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に実施した海外での調査・研究を踏まえて、全体の研究をまとめる予定である。 具体的には、世界のCISG専門家によるシンポジウムの開催を予定し、そこでの議論を踏まえて検討を深め、全体の研究成果を公表する予定である。 今回の改正で実現した日本民法改正法の最新の内容と、発効から40余年が経過し、世界の契約法のグローバルスタンダードとして確立したCISGの内容を、集積されたCISGの判例・仲裁判断と、各国のコンメンタールの内容を踏まえて比較・分析し、日本民法改正法の先進性を評価する。先進性を評価する際、先進性の基準となる要素をまず抽出し、更に比較法分析の方法論についても最新の状況(ヨーロッパでの地位的調和の経験、現在進行中のヨーロッパ以外の国々とのプログラム)を踏まえて検討する。 またその際、国際契約における紛争は、現在そのほとんどが仲裁でなされることに鑑みて、CISG が適用されるのも仲裁の場面が多いことから、仲裁の特殊性を考慮する。更に比較する際の各制度における具体的な比較ポイントを明確にして抽出することにも留意する。 なお、対面でのシンポジウムの準備として、現在開催している国内の研究会に加えて、事前に海外の研究者と共同研究会の実施を計画している。段階的な研究プログラムを検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの状況を見ながら、3月末から年度を渡って海外出張せざるを得なかったため。 また、海外出張の成果を検討に活かすためには、多少の時間をとって検討する必要があったため。実際に研究に大きな進展があった。
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