研究課題
基盤研究(C)
本研究は、国際環境法上の予防アプローチ(precautionary approach)の発展が、海洋の科学調査活動に対する国際的規律にいかなる影響を与えつつあるか、解明することを目的とした。調査対象とした海洋汚染防止や海洋生物資源管理を目的とする条約体制の検討により、予防アプローチの採用は、商業目的の活動と同様、環境リスクを制御するための実体的・手続的義務の発展をもたらしつつあるだけでなく、活動が科学調査として認められるための条件や基準の発展も伴っているとの知見を得ることができた。
国際法、国際環境法
国際的な海洋環境保護の基礎となるデータ等を提供する一方、それ自体環境保護規制の対象となりうるという海洋科学調査の「二面性」をふまえつつ、その予防的規制に焦点を当てた本格的研究は、国内外においてまだ乏しい。本研究の成果は、その基礎的な知見の提供に寄与することで、国際環境法における予防的アプローチの研究の進展に貢献しうる。またこうした研究は、海洋環境保護のための効果的な国際制度の構築・維持に不可欠であり、海洋国である我が国にとっても、意義があるものと考えている。