研究課題/領域番号 |
18K01399
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
川和 功子 同志社大学, 法学部, 教授 (70295731)
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研究分担者 |
金子 宏直 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 准教授 (00293077)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 消費者法 / 標準書式契約 / 約款 / 定型約款 / ソフトウェア契約 / 条項の開示 / 契約条項 / 合意 |
研究実績の概要 |
「デジタル・コンテンツ供給契約の一定の側面に関する欧州議会及び理事会指令提案」(デジタル・コンテンツ指令提案)についてひきつづき、資料を収集し、主に適合性と救済についての研究を行っている。 米国の、アメリカ法律協会(American Law Institute、以下、ALI)によって現在作成途中である消費者契約法リステイトメント(Restatement of the Law, Consumer Contracts )の2017年4月時点における草案を巡る議論についての研究を行った。研究成果としては、米国消費者契約法リステイトメント草案とソフトウェア契約を巡る約款に関する議論について」という論文を執筆した。論文においては、草案作成にあたり参考にされたソフトウェア契約に関連する裁判例の判旨、草案作成の背景となるレポーターが採用した実証的アプローチ(empirical approach) 、消費者契約法リステイトメントの草案の主要な規定について紹介すると共に、契約の成立、契約条項の採用に関連する第2次契約法リステイトメント 、コンピュータ情報契約に関連して起草された米国におけるコンピュータ情報取引法(UCITA(Uniform Computer Information Transaction Act)) 、ALIソフトウェア契約法原則(Principles of the Law of Software Contracts) について比較検討を行った。シュリンクラップ契約を巡る法的問題が提示する標準書式契約における契約の成立、標準書式契約条項の採用、標準書式契約の変更、非良心性による強制不可能な条項等の議論は日本における定型約款についての問題に示唆を与える点において重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「デジタル・コンテンツ供給契約の一定の側面に関する欧州議会及び理事会指令提案」(デジタル・コンテンツ指令提案)についての資料の収集、米国の、アメリカ法律協会(American Law Institute、以下、ALI)によって現在作成途中である消費者契約法リステイトメントについての資料収集、論文執筆を同時並行して行った。デジタルコンテンツ供給契約の研究において重要なEU法についての資料収集、研究を前倒しで開始することにしたため、このテーマについての論文執筆のための準備も進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
デジタルコンテンツ供給契約の研究において重要なEU法についての資料収集、研究に加え、デジタル・コンテンツ供給契約についての規定を最初に導入した英国の2015年消費者権利法 米国におけるUCC第2編、コンピュータ情報契約に関連して起草されたコンピュータ情報取引法、ALIソフトウェア契約法原則(Principles of the Law of Software Contracts) について比較検討していきたい。 高度情報化社会において、物品、役務、情報、デジタル情報等さまざまな目的物が取引され、その周りを【情報のフロー】が取り巻いている状況において、【多層化した取引の目的物】を踏まえつつ、その取引主体である、高齢者、幼児などを含む「生身の人間としての」消費者の類型【多層化した消費者の類型】に応じた規制のありかたについて、消費者が十分な情報を与えられ、自主的に選択でき、トラブルの際には救済される法制度の統一的、首尾一貫した一般原理を提言しつつ、個別の事例に対応していけるシステムを構築することが本研究のめざす目的である。 本研究の趣旨に鑑み、脆弱な消費者を含む消費者法性のありかたという観点からは、消費者契約法のありかた、消費者に向けた広告規制のありかた、米国における非良心性の判断の分析なども今後考察の対象としていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
書籍の購入などのために使用予定であったが、一度資料を見直してから、次年度に改めて書籍の購入計画を立てることとした。
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