研究課題/領域番号 |
18K01401
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
宮脇 正晴 立命館大学, 法学部, 教授 (70368017)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 知的財産権侵害 / 損害賠償 / 逸失利益 |
研究実績の概要 |
特許権侵害に対する損害賠償額の算定について、日本の判例・学説や米国の判例・学説を調査した。その結果、米国判例上の損害賠償額算定法である逸失利潤(lost profits)の算定の基本的な考え方は日本の特許法102条1項とよく似ているが、特許発明の価値を代替品に対する優位性で測るという米国における考え方が米国のほうが徹底されていることが分かった。日本の算定法の中には趣旨が不明なものもあるため、この点は参考になった。 また、実際の判例において逸失利潤の算定のため考慮される要素は米国のほうがはるかに多いことが分かった。このことから、日本の102条1項の損害額算定法は米国における逸失利潤の算定を単純化したものと捉えられる。米国の逸失利潤の算定は日本の上記102条1項の下での算定よりも厳格であり複雑であるといえるが、米国ではその厳格さや複雑さが原因で生じている問題もあるようである。厳格さにより生じている問題として、逸失利潤の算定とは異なる算定方法(合理的実施料額の算定法)が利用されがちで、そちらの賠償額が高騰しているという問題が挙げられる。複雑さから生じている問題として、算定コストがかかることが挙げられる。 上記のほか、不正競争防止法及び商標法に関する基礎的な研究を文献調査により行った。とりわけ、商品形態の保護をめぐる特許権と商標権の機能分担に関する米国の判例や学説を調査した。これらは商標法や不正競争防止法の制度趣旨の検討のために重要であり、制度趣旨の違いを踏まえた損害賠償論の構築にも寄与しうるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は文献調査を行ったが、必要な資料についてはほぼ入手出来ている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は文献調査を継続するほか、海外調査も行う。調査先は米国を予定しており、具体的な訪問先を選定中である。 昨年特許法が改正され、損害賠償の算定方法について変更があったため、これの趣旨や影響についても調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していた洋書の出版が延期されたため、次年度に購入予定である
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