研究課題/領域番号 |
18K01401
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
宮脇 正晴 立命館大学, 法学部, 教授 (70368017)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 知的財産権侵害 / 逸失利益 / 損害賠償 |
研究実績の概要 |
特許権侵害に対する損害賠償について、令和元年度に知財高裁の大合議判決が2件出された。そのうちのひとつ(知財高判令元・6・7平30 (ネ)10063)は同法102条2項に基づく損害額の算定に関するものであり、もうひとつは、同法102条に関するもの(知財高判令和2・2・28・平31(ネ)10003)である。2019年度はこれらの判決を中心に、国内の裁判例や学説の分析を行った。その結果、裁判例が採用している算定方式については条文から論理必然に導かれるものではないが、算定の枠を裁判所があらかじめ明示すること自体は、当事者の主張立証すべきポイントを明確化して算定コストを削減する効果があるため、この観点からの検討が必要であることを確認することができた。この成果の一部は、論文(上記知財高判令元・6・7について検討する内容)として公表した。 上記と並行して、商標法や不正競争防止法上の損害額の算定について、国内の裁判例や学説の分析を行った。その結果、これらの法の違反行為によって生じた損害と特許権侵害によって生じたそれとは性質が全く異なるにもかかわらず、これらの法には特許法と同様の損害額の算定規定が置かれている趣旨は、上記のような算定コストの削減という観点から捉えるべきではないかと考えるに至った。現在はこの考えの検証のために文献調査等を継続している。この成果の一部については、今年度に論文(商標権侵害に対する損害額の算定に関する内容)として公表することを予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
9月に米国出張を行い、研究者や実務家へのヒヤリング等を計画していたが、校務が重なったため調整がつかなくなり、3月に延期したところ、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行のために渡航を断念せざるをえなくなった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に海外出張ができるかどうかがかなり危ぶまれる状況であるので、文献調査やオンラインでのインタビュー等に切り替えることを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
9月に米国出張を行い、研究者や実務家へのヒヤリング等を計画していたが、校務が重なったため調整がつかなくなり、3月に延期したところ、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行のために渡航を断念せざるをえなくなった。 次年度は渡航が可能な状況となれば渡航のために使用するが、渡航ができない場合には文献調査や国内調査のための使用に切り替える。
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