憲法中の文化概念、歴史的建造(築)物の保存・活用と都市計画との連携に着目し、日本統治期においては、漢人社会の「文化」を法的に容認することと文明の表象としての近代都市や公衆衛生の理念に基づく都市計画との融合が相互適応的に進行した点、また民主化以後の台湾では、台湾の民族「文化」と都市「文明」の融合・混淆による文化的価値が地域振興やまちづくりに接続された可能性を提示した。さらに文化に関して、中華民国期の台湾において、民族に代わる「族群」概念が創出され、個人の内包する歴史が触媒となり文化の多元化へと向かった点、文化基本法に至っては「すべての」族群や多様な人権概念を含む文化権へと更新された点を指摘した。
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