イギリスの政党間競争では近年、支持の移動が従来にない規模で生じており、各種選挙で20ポイントを超える得票率の増減が記録されている。同じ時期、2014年のスコットランド住民投票や2016年のEU離脱国民投票、2017年総選挙と政治への有権者の不満が表面化したと解される事態も連続した。こうした振幅の大きい政治が生じている背景には、同国の政治的疎外が多様な有権者の関わる複層的なものに変化したことを指摘できる。本研究は政党と有権者の関係をローカルレベルの実証分析から検討することで、2010年代のイギリス政治の構造変化を有権者による支持と政党による支持調達から明らかにし、その政治史的な意味を考察した。
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