研究課題
基盤研究(C)
コロナ禍による障害を克服しながら研究に励み、課題を総合的に解明するための資料的基礎を築いた。その上で、学会発表を11回行い、学術論文5件、共著書3件、単著書1件をまとめ、民間団体での講演会やNHKスペシャルなどの番組制作にも協力した。これらの成果は学界で肯定的な評価を受けており、集大成的な単著書は2024年度の研究成果公開促進費(学術図書)に採択され、東京大学出版会より出版されることになっている。また、海外でも本研究の成果に対する注目度が高く、単著書の中国語版の出版について依頼を受けている。
社会科学
「防共」と「抗日」の優先順位をめぐる葛藤という新しい視角から、従来見落とされた中国の対日・対ソ政策の重要な側面を実証的に解明し、日、中、ソ三国と中国国民党、中国共産党という「三国四方による日中戦争史」の研究に存在している空白の一部を埋めた。また、二国間関係の研究と多国間関係研究の相互補完を図るとともに、貴重な新資料を紹介しつつ、日中戦争期における国際関係について、特にソ連要因と中国共産党要因との関連を重視した観点から新しい知見を提示した。