研究課題/領域番号 |
18K01418
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研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
西川 賢 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (10567390)
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研究分担者 |
稗田 健志 大阪市立大学, 大学院法学研究科, 教授 (30582598)
善教 将大 関西学院大学, 法学部, 准教授 (50625085)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ポピュリズム / 国際比較 / 政治態度 / 政治行動 / テキスト分析 / サーベイ |
研究実績の概要 |
本研究は、「ポピュリストのどのような言説が、どのような有権者に支持されるのか」を国際比較の視座から明らかにするものである。世界的な政治現象としてみなされているポピュリズムに対して、本研究では日米英の比較検討を通じ、共通項のみならずその相違についても示すことを目指している。
二年目である2019年度には、西川はポピュリズムに関するアメリカの先行研究をまとめ、収集したアメリカの19世紀の政治家に関する歴史的文書を広く収集し、トピック・モデルやコサイン類似度など、テキスト分析の手法を用いて分析を行い、成果を日本比較政治学会と北海道大学の国際シンポジウムで報告した。この成果をもとに、American Political Science Associationにも応募したが、これは採択されなかった。また、初年度の日本人を対象とするサーベイデータの収集に続き、2019年度はアメリカ人を対象とするサーベイデータの収集を順調に進め、数千のサンプル回収に成功した。さらに、稗田は欧州社会調査(ESS)第4波から第8波のデータを用い、欧州22カ国のポピュリスト政党への支持態度を分析する論文をまとめ、国際ジャーナルに投稿中である。また、一年目までの成果をまとめた論文が政治学の国際査読付き学術雑誌であるParty Politicsから2019年春に公刊された。同論文は、Alexander Wuttke氏やPaul Kenny氏など、世界の同分野の研究者に先行研究として注目され、検討・引用されている。
研究分担者との意思疎通もきわめて円滑に行われ、SNSを用いて研究成果の学会報告予定を周知するなど、研究成果を広報することにも努めてきた。以上のように、順調に研究が進捗したといえよう。今後も海外学会での研究報告、国際ジャーナル(可能であれば政治学分野のトップジャーナル)への投稿を精励する方針である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は3年間のスケジュールで進められるものであり、1年目に先行研究の整理と検討を行いつつ、新聞記事等を用いたテキストマイニングによりポピュリスト言説の構造分析を行う予定であった。続く2年目にはサーベイ実験を設計し、先行調査・実験を日本人を対象に実施することを企画していた。 最後に、3年目には残る英米の有権者を対象とする実験を実施するとともに、研究成果は積極的に国内外の学会などで報告すると同時に、政治学系の査読付き学術雑誌へ投稿することを目指していた。
初年度の研究が順調に進んだため、最終年度に行うはずだった英米の有権者へのサーベイ調査を前倒しして、2019年度にアメリカ人を対象とするサーベイを実施し、数千のサンプルを得た。また、西川はアメリカのポピュリズムに関する更なる先行研究の整理と検討を行いつつ、歴史的資料をテキスト分析の手法で分析したポピュリスト言説の構造分析を行って、学会や国際シンポジウムで報告した。
本研究は、きわめて順調に推移しているといえるだろう。
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今後の研究の推進方策 |
研究が順調に推移しているので、残る国の有権者を対象とするサーベイを早めに実施し、研究成果を更なる論文にまとめたい。そして、それを積極的に国内学の学会に応募して報告するとともに、それらの成果を積極的に政治学系の査読付き国際学術雑誌(できればトップジャーナル)へ投稿していく方針を精励する。
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