フーゴー・プロイスおよびカール・シュミットのヴァイマル憲法48条論や緊急命令権に関する議論に取り組み、ワイマール共和国における大統領の非常権限の実像に迫る研究を総括した。 すでに昨年度に研究の骨格となる成果は、年報政治学の査読論文として公刊したが、今年度はそれに加えて、プロイスの国際法論に関する査読付き論文(「フーゴー・プロイスの国際法論」)を1本、日本国憲法43条の国民代表を論じた紀要論文2本(「『国民代表』とは何か~愛媛県第2区(旧3区)の実例に基づく憲法43条の考察(上)」および「同(下)」)を執筆した他、イタリア・メナージョのヴィラ・ヴィゴーニで開催された、カール・シュミット『大地のノモス』の国際研究集会に参加して、研究報告(Nomos der Erde und die ostasiatische Weltordnung)を行った上、ウィーン大学法学部においても、プロイスとシュミットのヴァイマル憲法48条論をめぐる講演(Artikel 48 der Weimarer Verfassung: Hugo Preuss und Carl Schmitt im Streit ueber den "Diktaturartikel")を行った。いずれも高い評価を得て、前者の原稿はドイツの国際法雑誌(Archiv des Voelkerrecht 特別号)への投稿を打診され、後者については、オーストリアの雑誌への投稿を打診されて、現在独語論文の公刊に向けた作業を行っている。 そのほか、カール・シュミット研究で著名なラインハルト・メーリング教授とハイデルベルクで開催されたマックス・ヴェーバー研究会で再会して親交を深めることができ、メーリング教授の自宅を複数回訪問して、シュミットの一次資料に関する貴重な情報を得ることもできた。
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