研究課題/領域番号 |
18K01431
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研究機関 | 熊本高等専門学校 |
研究代表者 |
遠山 隆淑 熊本高等専門学校, リベラルアーツ系人文グループ, 准教授 (60363305)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 内閣 / バジョット / ウィッグ / イギリス国制 / 政治的決定 |
研究実績の概要 |
2020年度は、とりわけW・バジョットがイギリス国制において内閣をどのように位置づけたのかを正確に把握することを主にめざして、バジョットの主著である『イギリス国制論(The English Constitution)』(1865-7、72年)の全体やその他の文献の翻訳作業を進めた。その過程で、バジョットの議論から、ピール派をピールから受け継いでウィッグなどとの連立政権を形成したアバディーン自身や彼が作った内閣の政権運営について、思想史的な観点から分析することが、本研究に有意義な成果をもたらしてくれるという着想を得たことが、2020年度における本研究のいちばんの成果だったと考えている。 しかし、2020年度は、コロナ禍の影響によって、この研究の重要な要素を占めている当時の知識人や政治家たちの議論(定期刊行物、特に『エジンバラ・レビュー』、『クォータリー・レビュー』、『フォートナイトリー・レビュー』など)を調査して収集するために、遠方の大学図書館を訪れることができる状況ではなかった。そのため、特に旅費について、研究費を使用することがまったくできなかった。また、同じく、新たに遠隔授業の準備をしたり、通常の学期であるならば出てこないような様々な校務における対応に迫られることになって、本研究の遂行に十分に時間を充てることができず、大幅にエフォートが下がってしまったため、本研究が大きく進展したと言えるような成果を残すことができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、ヴィクトリア時代の定期刊行物を所蔵する機関で直接確認しながら複写等で収集する作業を組み入れているが、2020年度については遠方に行くことができなかったので、研究成果につながるような史料の読解を進められなかった。また、遠隔授業対応等で、本研究のエフォートが大幅に下がった。
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今後の研究の推進方策 |
現在可能な史料の入手方法を用いて、特にヴィクトリア時代のウィッグ政権、中でも、グラッドストン政権になるまでのウィッグを中心とする政権(アバディーン政権、パーマストン政権)にかんして、イギリス国制における内閣の位置づけをめぐる同時代の知識人たちの理解に注目しながら、ヴィクトリア時代中葉におけるウィッグの内閣論について論文を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
特にコロナ禍の影響によって、本研究の中で主要な作業となっている定期刊行物所蔵機関への文献調査と文献複写を行うことができなかったため。また、同じ影響によって、本研究のエフォートが下がって、書籍を中心とした物品の購入をあまり行えなかったため。
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