研究課題/領域番号 |
18K01435
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
中北 浩爾 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (30272412)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 連立政権 / ポスト55年体制 |
研究実績の概要 |
2018年度はこの研究の初年度であり、公刊に至った研究成果としては、小さな論文「ポスト55年体制期の連立政権」が主なものであった。この論文は、中北が編集した雑誌『生活経済政策』の特集の一つの論文であり、自公連立政権の安定性の原因を、選挙協力と政策調整の仕組みの両面から捉えるものである。それを通じて、衆議院の小選挙区比例代表並立制と、事前審査制を支える国会制度の二つの制度の重要性を主張している。この論文の内容は、2018年12月15日の九州大学政治研究会で報告し、批判を受けた。 また、この論文の内容を中心とする書物の執筆作業を進めた。年度中の刊行には至らなかったが、2019年5月7日に『自公政権とは何か』と題して筑摩書房(ちくま新書)から出版される予定である。目次を示しておくと、次のとおりである。はじめに もはや単独政権の時代ではない、第1章 神話としての二党制、第2章 連立の政治学、第3章 非自民連立から自社さへ、第4章 自公政権の形成と発展、第5章 なぜ民主党政権は行きづまったのか、第6章 自公政権の政策決定とポスト配分、第7章 自民・公明両党の選挙協力、おわりに 野党共闘と政権交代を考える。 同書の執筆に際しては、新聞や雑誌の記事をコピーによって収集したほか、様々な政治家にインタビューを行った。また、多数のデータを作成し、分析を行っている。そうした作業を行う上で、科研費が有効に利用されたことを特に明記しておきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2018年度中の刊行には至らなかったものの、分析を進め、本の出版のめどをつけたことは大きな成果である。その過程で、小さな論文を執筆し、それに対するフィードバックを得たことも有効であった。当初の計画以上に進展している、と判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
2019年5月刊行の『自公政権とは何か』に対する批判が寄せられると思うので、それを受けて研究をさらに発展させることが第一の課題になる。可能な限り多くの批判を得るために、当書籍を積極的に各所に送付することを予定している。 第二の課題は、この書籍では手薄なものにとどまった非自公勢力の分析である。旧民主党系諸政党および共産党の分析を今後行うことを研究の柱に据えたい。なかでも共産党に関する研究は、学問的に手薄なので、積極的に推進することを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度は、日本の連立政権、特に現在も与党である自公連立政権の分析とその成果発表に注力したため、当初予定していた洋書購入のための予算が次年度使用額として残った。それらは次年度以降の洋書購入に主に使用する予定である。
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