研究課題/領域番号 |
18K01446
|
研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
中條 美和 津田塾大学, 総合政策学部, 准教授 (90707910)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 政治的信頼 / 世論 / 日本政治 / 投票行動 |
研究実績の概要 |
本研究は通常説明される因果である「政治的信頼が人々の行動を決定する」という関係と逆に、「人々の行動が政治的信頼を決定する」という因果関係を明らかにすることを目的とし、主な題材として2011年3月の東日本大震災と続く原子力発電所の事故という混乱期における首都圏住民の移動の有無を追跡するものである。この目的のため、1)2011年当時のツイート内容の分析、2)2011年の千葉県柏市や埼玉県三郷市などの局地的に高い放射線量が報告された地域や千葉県浦安市や千葉県我孫子市などの液状化被害に関してサーベイを用いた自然実験、3)2019年参院選における有権者サーベイの実施、4)移動自由の可否による信頼度の差に関するラボ実験を計画した。 2019年度は、これらのうち、2)と3)に関して、郵送調査を実施した。具体的には、2020年2月より3月にかけ、埼玉県三郷市、千葉県柏市、流山市、我孫子市、浦安市の5自治体の有権者各2,000人を選挙人名簿より無作為抽出し、郵送調査を実施した。主な質問項目は、政治的信頼のほか、2011年東日本大震災当時の行動、2019年の参院選や直近の首長選における投票行動である。同時に、2020年3月には熊本地震と首長選挙の関係を実地調査した。これらの研究結果は2021年7月のInternational Political Science Associationのannual meetingで発表予定である(COVID-19の影響を受け、当初予定の2020年7月より1年延期)。 また、2019年4月のMidwest Political Science Associationにおけるannual meetingでは、共著発表論文 "Do Voters Punish Government for Natural Disasters? Evidence from the 2015 Kinu River Flood and the 2016 Kumamoto Earthquake in Japan" に関して、自然災害と政治的信頼の関係についてフィードバックや新たな知見を得ることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画における4つのプロジェクトのうち、1)ツイッターデータの分析と4)ラボ実験の2つを断念した。1)ツイッターデータに関しては、2011年当時のツイッターデータを入手・分析することの困難さが理由である。4)ラボ実験に関しては、予算制限のため、やむなく断念した。
|
今後の研究の推進方策 |
2020年度は、郵送調査の回答(回収率34%)を分析し、研究成果をまとめることにつとめる。当初発表を予定していた2020年7月開催のInternational Political Science Associationのannual meetingは2021年7月開催と延期されたため、他の研究者との意見も交えつつ、分析につとめ来年度の発表へとつなげたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
予算制限から、当初計画では実施予定であったラボ実験を中止したため、次年度使用額が生じている。翌年度分として請求した助成金とあわせて、国際学会発表の旅費とする。
|