本研究は4年間の予定だったが、コロナ禍のため海外調査を行えない時期があり、1年延長して2022年度まで行った。5年間に12回計105日間の現地調査を行った。 2018年度には、日本タイ学会の研究大会において"Reforming Thai politics for equality and justice"と題する分科会を開設し、司会兼コメンテーターを務めた。アジア政経学会の秋季研究大会では、"Do Democracies Decline in Asia?"と題する分科会の司会兼コメンテーターを務めた。どちらの研究大会でも本研究の成果をコメントに反映させることができた。 2019年度には、日本タイ学会の研究大会において「ラーマ10世即位後のネットワーク・モナーキーの変質」と題する研究報告を行った。アジア政経学会が発行する『アジア研究』にアジアの民主主義に関する特集のとりまとめ役を担当し、4つの掲載論文を総括する論考も執筆した。 2020年度には、日本比較政治学会の研究大会にタイの王室の政治的役割に関するペーパーを提出し、口頭発表も行った。2021年度には、『タイの近代化:その成果と問題点』(阿曽村邦昭編)という単行本に所収された「タイにおける王室の政治的役割の変化と民主主義の混迷」という章にこれまでの研究成果をまとめた。日本タイ学会の研究大会において「『プミポン・コンセンサス』再考:その成立過程と負の遺産」というタイトルで発表も行った。 2022年度には、日本タイ学会の研究大会でバンコク都知事選の結果について報告した際や、法政大学法学部が発行する『法学志林』に「バンコクの地域的多様性と有権者の投票行動:政治対立の構図と世代間格差の交差」と題する論文を発表した際に、タイ政治の新たな対立軸の1つとして王室の政治的関与に対する考え方の違いを指摘し、本研究の成果を反映させた。
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