現在、欧州全般において人権などのリベラルな法規範の強化が進んでいる。しかし、ムスリム系移民出身者の排除を主張する排外主義の言説はしばしばリベラルな法規範に依拠する。ムスリム系移民出身者は、「ムスリムとしての帰属意識」をもつと想定される。そして、この帰属意識を理由として市民権行 使の前提となるリベラルな法規範に従わないことを警戒され、排外主義的な法政策によって、市民権 の実際の行使から排除される傾向がある。そして、排除は治安、政治参加、教育の順番で激しくなっていることが確認できた。また、ムスリムの排除に対する抵抗は、教育、政治参加、治安の順番で組織されることが確認できた。
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