研究課題/領域番号 |
18K01451
|
研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
柴田 直子 神奈川大学, 法学部, 教授 (20409840)
|
研究分担者 |
幸田 雅治 神奈川大学, 法学部, 教授 (10635460)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | コミュニティ裁判所 / アメリカ地方自治 |
研究実績の概要 |
当初の研究計画では、3年目(最終年度)となる当該年度は、アメリカの自治体への訪問調査を完成させるとともに、可能な範囲でその他の英米法系の国の自治体についても調査を行い、また、これらを踏まえて、国内外の専門家と意見交換を行う予定であった。しかし、2年目の終わりから3年目の全期間にわたって、新型コロナウィルスの影響で海外及び国内の自治体等への訪問が困難となったため、やむを得ず、研究計画を文献を中心とした調査へと変更した。 それを踏まえた、当該年度の研究実績は、以下のとおりである。 第1に、英米法系の地方自治制度をもつニュージーランドについて、「地域の問題解決における自治体の司法的な機能」を明らかにするための前提となる、ニュージーランドの地方自治制度の成り立ちと地域の問題解決における住民参加の制度について、論文にまとめ公表した。これは、本研究着手以前より、本研究と並行して取組んでいた、街づくりの文脈における、ニュージーランドの地域の問題解決と住民参加に関する研究の成果でもあるが、本研究にとっては、アメリカ以外の英米法系の国の自治体について、本研究テーマに関して考察するための予備調査的な位置づけとなるものであった。 次年度以降は、この研究成果によって明らかになった内容を踏まえて、ニュージーランドについて、本研究テーマに関する考察を行うとともに、その成果を、本研究の中心であるアメリカの自治体における、地域の問題を解決するための自治体の司法的な作用の理解を発展させるために用いる予定である。 第2は、特に令和2年度においては、アメリカの研究者による自治体裁判所に関する研究が進んだことにより、アメリカの自治体裁判所の歴史乃至現状について記した有益な文献を多く入手し分析することができた。これらの文献を分析した成果の一部を、次年度に論文として公表する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和1年度の半ばに、アメリカ東部の州の自治体についてコミュニティ裁判所の訪問調査を行った。これに続いて令和1年度の終わりから2年度にかけて中部、西部の州の自治体を調査し、また、日本の自治体についても訪問調査を行う予定であったところ、コロナウィルス蔓延の影響で訪問調査が困難になった。 調査の対象となる施設や団体が、ウィルスの蔓延する地域にあり、ZOOMなどを用いた遠隔の手段を用いても、ヒアリングを実施できる状況ではなかったことから、調査を延期せざるを得なかった。これらが、研究の遅れの理由である。 このため、研究計画を若干修正して、文献による調査の範囲を広げたが、まだ当初計画していた成果は得られていない。 次年度に、残りの調査を完成させることを予定しているが、コロナウィルスの収束がさらに遅れる場合には、得られた情報の範囲において、研究をまとめることとしたい。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方針として、まずは、遅れていた調査を可能な限り実施する。すなわち、海外に渡航ができる状況になった場合には、アメリカ西部と南部の自治体裁判所を訪問し、裁判官及び事務官、並びに裁判所と協力する地域の団体へのヒアリングを実施する。コロナウィルス、その他の問題により、渡航が困難であれば、ZOOMなどを用いた遠隔によってヒアリングを試みる。さらに、当該年度に引き続き、文献調査を行う。 また、これまでの調査で明らかになったことを踏まえて、次年度は、隣接する研究領域の専門家との意見交換を行う予定である。 本研究の最終的なまとめは、研究期間終了後に行う予定であるが、これまでの研究で、アメリカの自治体裁判所の実態についてはあるい程度明らかになったので、次年度においては、これまでの調査で明らかになった、アメリカの自治体裁判所の関する事項のうち、自治体裁判所の現状及び州の司法制度改革について、それぞれをまとめた論文を公表する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は、アメリカの自治体裁判所及び日本国内の自治体に訪問しヒアリング等を行う予定にしていたが、新型コロナウィルス蔓延の影響で訪問による調査を延期することとした。 今後、この問題が収束し、訪問による調査が実施できるようになった場合は、可能な限り当初の予定通り実施する。 万一、訪問によるヒアリング調査を行えない場合には、ZOOMなどを用いた遠隔でのヒアリング調査を試みる予定ではあるが、遠隔では得られない情報については、文献による調査の範囲を広げて、これを補う予定である。
|