研究課題/領域番号 |
18K01456
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
武藤 祥 関西学院大学, 法学部, 教授 (40508363)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 権威主義体制 / イベリア半島政治史 / 政軍関係 |
研究実績の概要 |
2021年度は、2020年度に引き続き、新型コロナウィルスの影響を受けたことで、研究計画全体の大幅な見直しを迫られた。特に本研究計画で必要不可欠な、スペインとポルトガルでの史料調査が予定通り行えなかったことは大きな痛手となった。 そのため2021年度は、それ以前に収集した一次史料の分析と、新たに入手した二次文献の渉猟を中心とした作業を進めた。その作業を通じて、2020年6月に日本比較政治学会で行った報告(およびその際に執筆した論文)に用いた分析枠組の精緻化と、それに基づくスペインのフランコ体制・ポルトガルの新国家体制(特に前半期)における政軍関係の分析を行った。 2020年度に収集した史料を分析する中では、個別の事象における軍の関与について、断片的な情報を得ることはできたものの、本研究計画の主たる課題である「権威主義体制に対する軍の態度」をより広範に探るという目的に照らすと、現時点での史料調査の状況は未だに十分ではない。 他方、スペイン・ポルトガルにおいては、政軍関係、特に本研究計画に関連する権威主義体制期のそれに関する本格的な研究がいくつか公刊されている。これらを収集・渉猟することで、上述した、史料の質的・量的不足を補うべく研究を進めてきた。 また、日本国内においても、様々な地域における政軍関係、および政軍関係に関する理論的研究が進んでおり、これらを渉猟することで、本研究の分析視角・理論枠組の精緻化を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述した通り、本研究計画の大きな柱である、スペイン・ポルトガルでの史料調査が予定通り進められなかったことが大きな理由である。そのため、理論枠組と事例分析の2つの要素からなる本研究のうち、事例分析を進めることが難しかった。
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今後の研究の推進方策 |
本報告書執筆時点(2022年5月)において、新型コロナウィルスの感染状況は改善に向かっており、このまま事態が推移すれば、2022年度は海外での史料調査が再開できる可能性もある。その場合は、年度内に2度ほど史料調査を実施し、事例分析のための史料を収集したうえで、先行して進めてきた理論的検討と、事例分析を接合させ、本研究計画の成果の最終的取りまとめを行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は、海外での史料調査が予定通り(年に2度)行えず、本来使用するはずであった旅費に大きな余剰が出た。2022年度は新型コロナウィルスの感染状況に鑑みつつ、1度あたりの出張期間を長くする、あるいは研究文献をより積極的に収集するなどして、全体として本来の研究計画に即した形で支出を行う。
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