研究課題/領域番号 |
18K01457
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
平野 淳一 甲南大学, 法学部, 准教授 (10550949)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 地方政治論 / 政治学 |
研究実績の概要 |
前年度に続いて市長選データの作成を行うとともに、一期目を終えた現職市長が再選を目指したものの落選に終わった事例について調査を行った。その結果、市長選データについては、2020年度から2022年度の全期間、および2023年4月の統一地方選時までの候補者の年齢や前職、党派性、得票数といった項目を入力することができた。また、一期目の現職市長の落選事例の分析から、一期目の現職市長が落選する市長選の争点について、共通点やパターンがあることが分かった。まず、市役所新庁舎・統合庁舎の建設が争点となった結果、新庁舎建設を主張する現職に、計画の撤回を求めた新人が勝利するといった事例が複数見られた。それ以外にも現職市長による拡張的な財政政策への批判とみられる落選事例が散見された。新市庁舎の建設といった多額の予算の計上が求められる施策への批判は有権者の間に根強く、対立候補がそれを利用する形で現職を破るケースが多いことが確認できる。また、事業見直し等を契機とした現職市長と議会との対立から、有力な対立候補の出馬、現職の落選につながった事例も見られた。一期目で敗れた現職の中には、選挙で掲げた公約の実現にこだわるあまり、議会との対立が激化したと思われるケースも見られ、一期目の政策選択が重要であると考えられる。この他にも、市職員等の不祥事・スキャンダルによるものとみられる落選も確認された。これらのケースについては、市長の政策選択とは無関係と思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度後期より在外研究に入っているが、統計分析等の方法論の修得に多くの時間を費やしたため、当初考えていたよりは研究時間を確保できていない状態である。だが、2023年度に入ってからは研究時間を集中的に確保することができており、遅れを取り戻すようにしたい。
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今後の研究の推進方策 |
今後は市長選データの入力を継続するとともに、落選事例の分析対象を2期目以降の市長にも広げた上で、当選回数別の落選要因の違いがみられないかについて分析を行っていきたい。また、継続して行っている現職市長の当落の規定要因に関する計量分析についても、学会等での研究成果の公表に向けて準備を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響が本年度も続き、アルバイトの雇い入れができなかった他、学会出張等もできなかったことから、次年度使用額が生じた。
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