研究課題/領域番号 |
18K01458
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
岩谷 將 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (80779562)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 日中戦争 / 和平交渉 |
研究実績の概要 |
初年度は日中戦争に関する各国の外交・軍事史料の収集につとめ、武漢会戦を経て重慶撤退に至る対日戦略・戦術と英国、イタリアを通じた和平交渉を主題として中国の対日抗戦を検討し、中国社会科学院近代史研究所において「中日戦争初期日本的謀和工作」と題して研究成果の報告をおこなった。 まず、史料収集については、既刊の史料集である『中華民国時期外交文献彙編』やイタリア外交文書集を入手し、史料館については、計画どおりスタンフォード大学フーバー研究所史料館において白崇禧文書等の閲覧・収集を行った。欧州における調査については、本研究期間3年分に必要な英国・伊国の収集予定史料の事前調査に時間を要したことから、来年度の仏国との調査と入れ替え、仏国の調査を前倒し、英・伊を次年度に実施することとした。なお、仏国では外交史料館ならびに軍事史料館において仏国の援蒋ルートに関する史料の収集を行った。また、台湾における調査については、主たる調査先であった国史館がネットで部分的に史料公開を始めたことから、今年度についてはそれらの活用で研究を進めた。 収集した史料の分析については、冒頭で述べた和平交渉についての成果を発表したほか、年度の計画に掲げた既発表論文に新たに得られたドイツ軍事顧問団の史料を加え、ドイツ軍事顧問団の中国の対日抗戦戦略に関する献策について分析をより一層具体化させた。なお、今年度研究報告を行った和平交渉部分については、次年度実施予定の英国・伊国の調査を踏まえ、内容をより具体的に展開して論文として刊行する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
史料収集については事前調査の実施に時間を要したために英国・伊国の調査を来年度に回したことから、当初の予定より成果の刊行は遅れるものの、基本的な構成と分析はすでに終えて成果報告を行っていることから、調査を踏まえて比較的早く成果を公表できるものと考えている。また、来年度実施予定であった仏国での調査を前倒ししたことにより、次年度の検討に着手できたことから総合的に判断して順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
事前調査に時間を要し次年度に回した英国・伊国の調査を実施するとともに、台湾において中国の対英米工作に関する史料を党史館ならびに国史館において実施する。あわせて、以上の収集史料をもとに1939年から1941年にかけての中国の対日抗戦戦略について取りまとめ、成果として公刊する。
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