第二年度は初年度収集した白崇禧文書等を用い、武漢会戦前後の中国側の政治・軍事戦略について分析を行うとともに、あらたに入手した史料を用いて、盧溝橋事件勃発前後の中国側の状況について加筆を行った。 資料収集については当初年度末に予定していたイギリス、イタリアおよび台湾での調査がコロナウィルスの影響で実施が困難となったため、これについては次年度の状況を勘案して改めて実施の可能性を探ることとした。他方、当初マイクロフィルムを購入する予定であった米国史料について、海軍(海兵隊)武官の電信・報告が有用であることが判明したことから、マイクロフィルム化されている陸軍RG165に加え、マイクロ化されていない海軍(海兵隊)RG38の関連史料について実地調査を行った。なお、コロナウィルスの影響を受けて、発注したマイクロフィルムは次年度に利用可能となる予定である。 研究成果については当初、中国社会科学院近代史研究所において武漢会戦に至る時期の中国側の政治的・軍事的展開について中間報告を実施する予定であったが、現地で拘束されたため実施することができなかった。これについてはとりまとめの上、近日中に公刊することを目指している。また、データベースについてはアメリカ国務省RG59、在中国大使館RG84、陸軍参謀・専門幕僚本部RG165、在中国駐在部隊RG395、海軍軍令部長室RG38のうち、日中戦争初期(1937-1939)に関する関連史料の目録整理を終えたため、今後ネット上での公開を準備したいと考えている。
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