研究課題/領域番号 |
18K01461
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
後藤 春美 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (00282492)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アーサー・ソルター / チャールズ・キングズリー・ウェブスター / 国際連盟 / 国際連合 / 太平洋問題調査会 |
研究実績の概要 |
2019年9月5日出発、9月16日帰国で、イギリスに赴き、資料収集を行った。資料収集のために赴いたのは、大英図書館、イギリス公文書館、オクスフォード大学、ロンドン大学政経学院図書館である。 成果としては、第一に、イギリス公文書館でサー・アーサー・ソルターに関する資料を収集したことである。ソルターに関しては、以前、ケンブリッジ大学チャーチル・コレッジ資料館でも収集したのだが、ケンブリッジのものは、コピーライト保持者が不明のため、イギリスの厳しいコピーライト規則では引用が不可能である。幸いに、ほぼ同じ資料がイギリス公文書館にもあることがわかり、さらに、その前後の経緯もよりよくわかる資料が発見できた。 第二に、ロンドン大学政経学院のアーカイブズで、サー・チャールズ・キングズリー・ウェブスターの個人文書および日記を閲覧できたことである。ウェブスターは、第二次世界大戦中に国際連合設立準備に大いに貢献した歴史家である。また、太平洋問題調査会で1920年代に東アジアに来たことがあり、東アジア国際関係にも強い関心を持ち続けていた。この文書で興味深かった点の一つに、ウェブスターと中国人との交流がある。ウェブスターがアメリカ合衆国でサバティカルを過ごした際には、アメリカ滞在中であった胡適が彼を訪ねていた。また、太平洋問題調査会で出会った中国人も、中国を再度訪れるように手紙で再三要請していた。 私は、9月13日に、ロンドン大学政経学院准教授の方と研究について話し合う機会を持ったのだが、彼も、このような戦間期中国人(国民政府に近い人々)からイギリス人などへの働きかけに関する文書をいくつか見たことがあるとのことであった。一方で、私も彼も、日本人からの働きかけについては見たことがないということで一致した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度は、9月に10日間ほどイギリスに赴き、資料収集に努めたのだが、その後は、以前いただいた科研費の成果を Harumi Goto-Shibata, The League of Nations and the East Asian Imperial Order, 1920-1946 (Palgrave Macmillan, forthcoming) という英文書籍にまとめる作業に時間を取られ、本科研で収集した資料を整理する時間が十分にとれなかった。3月に作業を進めようと考えていたところ、若干体調不良となり、さらに、コロナウィルスの影響で2020年度授業への対応が通常よりはるかに早く始まってしまい、作業をする時間が全くとれなくなってしまった。2020年度を期したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、まず、昨年収集して整理できていない資料の整理から開始しようと考えている。 コロナウィルスの影響によっては、海外に赴いて資料収集を行うことは困難になることも予想される。一方で、インターネットなどで公開される資料も増えていくと予想されるので、その動向にも注意を向けつつ研究を進めていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じたのは、コロナウィルスの影響で、3月中に海外出張など科学研究費に関する作業が全くできなくなってしまったためである。2020年度も海外出張は難しいかもしれないが、できれば2020年度分として請求した助成金と合わせて、2021年3月にイギリスまたはアメリカ合衆国で史料調査を行いたいと考えている。
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