現在、中国は目覚ましい経済発展を遂げつつあるが、それは主に旧租界地域の存した都市を拠点としたものである。そして上海や天津などに存した規模の大きいイギリス租界は、列強による帝国主義的な中国支配という側面から主に考察されてきたが、同時に、イギリス人が中国の発展の基盤となる近代的なインフラを整備した地でもあった。したがって、イギリス租界の歴史、ならびに、租界返還政策においてイギリスが残そうとしたシステムを、近代化という観点から歴史的に考察した本研究の成果は、現在著しい発展を遂げ、様々な方面で影響を増す中国の発展の理解に微力ながら貢献できるものと考えている。
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