研究課題/領域番号 |
18K01466
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山田 康博 大阪大学, 国際公共政策研究科, 教授 (70243277)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 原爆の開発と使用 / イギリス / チャーチル |
研究実績の概要 |
本研究課題で研究活動の中心となるのは、一次資料の調査・閲覧と収集した資料の整理と分析である。当初は実施期間を2018年度からの3年間と予定していたが、新型コロナ・ウィルスの感染拡大により、2019年度にイギリス国立公文書館での第1回本調査を行なったあと、2020年度に続いて2021年度も、第2回目以降の本調査を実施できていない。その結果、閲覧を予定していたがまだ閲覧できていない文書ファイルが多く残っている。そのような資料の調査と収集の状況であることから、現在までに閲覧し収集できた一次資料は、量としては十分なものではない。したがって、本研究課題に対する補助期間のさらなる1年延長を、2021年度に続いて申請した。 一次資料のさらなる調査と閲覧が進められない中で2021年度に行なったのは、2019年度末までにイギリス国立公文書館で収集した資料のさらなる整理と分析である。その結果、アメリカによる対日原爆使用へのイギリスの関与の問題に関係する資料の存在が、さらに明らかとなった。 それは、1945年2月にイギリスのチャーチル首相がアメリカのローズヴェルト大統領とホプキンス大統領補佐官と行なった非公式会談について記したチャーチルによる覚書である。その覚書は、あいまいにではあるが、その非公式会談ではその5か月前に両首脳が合意した「ハイドパーク覚書」の内容に言及があったことをうかがわせるものである。この資料が意味することを明らかにするためには、他の関連する資料とのつき合わせが必要であり、そのためにはまだ閲覧できていない資料の閲覧が不可欠である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
一次資料の調査・閲覧が本研究課題の遂行において不可欠であるが、新型コロナ・ウィルスの感染拡大の影響を受けてそれを十分にできていない。その結果、閲覧予定資料リストにありながらまだイギリス国立公文書館で実際に閲覧できていない文書ファイルが多く残っている。 このように2021年度には、イギリス国立公文書館が所蔵する一次資料の第2回目の本調査やさらに追加的な資料調査を実施できなかった。したがって、本研究課題の遂行は当初予定していたよりも大きく遅れている状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの進捗状況を前提とすると、本研究課題実施の最終年度に当たる次年度には、イギリス国立公文書館において一次資料のさらなる調査・閲覧を実施することが不可欠である。しかし、新型コロナ・ウィルスの影響により、その実施ができるかどうかの見通しは依然として不透明である。その実施ができない場合には、本研究のこれ以上の推進は困難なものとなり、本研究課題の実施を中止せざるを得なくなる可能性がある。もしそうなれば、2019年度末までにイギリス国立公文書館において閲覧・収集した一次資料の整理と分析などに基づいて本研究課題のとりまとめをせざるをえなくなるだろう。
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次年度使用額が生じた理由 |
71万3622円の次年度使用額が生じた理由は、新型コロナ・ウィルスの感染拡大の影響を受けて、予定していたイギリス国立公文書館における所蔵一次資料の調査・閲覧を実施できなかったことである。次年度使用額を、前年度と同じく、同公文書館における研究活動のための旅費として主に使用する計画である。
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