人種の平等性を国際機構の創設目的の一つとして言及することは、パリ講和会議では実現せず、わずか25年後のサンフランシスコ会議では可能となった。その経緯や発想の背後にあるものを明らかにした研究はほとんど認められない。本研究では、国際機構の創設に関する国務省の検討や、国務省内外の関係者の働きを精査することにより、人種への言及は戦後に予測される問題の予防策として、また、成熟した社会を求める呼びかけとして検討されていたことを明らかにした。一方で、国連憲章が出された時期には、国際関係のダイナミズムが大きく変化しており、それらとの関連性も含めて今後も丁寧な分析を深めていく必要性を認識した。
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