研究課題/領域番号 |
18K01471
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研究機関 | 高崎経済大学 |
研究代表者 |
吉武 信彦 高崎経済大学, 地域政策学部, 教授 (80240266)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ノーベル文学賞 / スウェーデン・アカデミー / 谷崎潤一郎 / 川端康成 / 三島由紀夫 |
研究実績の概要 |
1968年の川端康成のノーベル文学賞受賞に至るまでの日本人候補をめぐる選考状況について、調査を進めている。特に、1958年以降の10年間に焦点を当て、日本、スウェーデンなどの一次資料に基づいて実証的な研究をめざしている。 本年度は、1967年までの選考に焦点を当て、以下の点を調査した。(1)1958年以降に候補になった谷崎潤一郎、西脇順三郎、川端康成、三島由紀夫の4名の著作がいかに外国語(特に、英語、ドイツ語、フランス語、スウェーデン語)に翻訳されたかを明らかにした。翻訳の原本、状況、翻訳者などを翻訳書の現物を見て確認した。(2)ノーベル文学賞の選考母体であるスウェーデン・アカデミーにおける日本人作家の著作(日本語および翻訳書)の所蔵状況を確認した。(3)スウェーデン・アカデミーにおける日本人候補に関する選考の一次資料についても閲覧した。資料は厳しく管理されており、必要なものを書き写した。 以上の調査のため、ストックホルム、ロンドンなどに出張し、現地で資料集めと関係者との面会を行なった。 上記の(1)、(2)については、途中経過の報告書を以下において発表した。拙稿「ノーベル賞の国際政治学―ノーベル文学賞と日本、1958~1967年の日本人候補に関する基礎的研究 (1)、(2・完)」『地域政策研究』(高崎経済大学)第21巻第3号、2019年2月、1~18頁、第21巻第4号、2019年3月、13~28頁。翻訳書について、不明のものが若干残ったが、大体のものは確認でき、その特徴をまとめることができた。 (3)については、まだ資料を収集中であり、読み込みも同時に進めている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の計画通り、基礎的な調査を行なうことができた。 スウェーデン・アカデミーの選考を考えるうえで、日本人作家の著作の翻訳が重要であるとの認識のもとに調査を行なったが、それについてはほぼ目的を果たした。特に、それらの翻訳書とスウェーデン・アカデミーの所蔵状況とをリンクさせ、スウェーデン・アカデミーでの選考がいかなる著作に基づいて行なわれたかを推測することができた。 また、スウェーデン・アカデミーの選考状況を示す一次資料についても収集を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は、スウェーデン・アカデミーにおける日本人候補の選考に重点を置いた調査、研究を行ないたいと考えている。 スウェーデン・アカデミーの選考状況を示す一次資料については、まだすべてを入手できたわけではない。谷崎潤一郎、西脇順三郎、川端康成、三島由紀夫の各候補について多くの報告書がスウェーデン・アカデミーによって作成されており、さらに毎年の選考報告書もある。これら資料の入手に今後も努め、さらにそれらを読み込み、関連資料と突き合わせて分析をしたいと考えている。
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