研究課題/領域番号 |
18K01474
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
小池 康弘 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (40244537)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | キューバ / 外交 / 対米関係 / キューバ系移民 / ニカラグア |
研究実績の概要 |
2019年度の活動として、(1)文献研究を中心に、米国の対キューバ政策形成プロセスにおける在米キューバ系移民の影響を歴史的に検証し、そのことがキューバの対米外交政策にどう影響しているかを考察、(2)近年における米国・キューバ関係について、およびキューバの対外援助活動について、2019年9月フロリダ国際大学、ニカラグア等での調査を行った。ニカラグアでは、特に医療・教育面での援助外交について調査した。 これらの成果については、2019年10月に開催された「冷戦研究会」(於:成蹊大学)における合評会(上英明著『外交と移民:冷戦下の米・キューバ関係』名古屋大学出版会、2019年)での報告および著者との議論に反映した。 また、調査報告として以下の論文にまとめた。小池康弘「米国・キューバ関係のアクターとしての移民」愛知県立大学多文化共生研究所『共生の文化研究』第14号、2020年3月。 この論文では、一枚岩で強固な組織的凝集性を形成、維持してきた米国のキューバ系コミュニティでも政治的価値観の多様化が進んでいることを実証した。この傾向は今後も続くと予測され、従来「特異な存在」であったキューバ系移民集団が「一般的なヒスパニック」の中に統合されていく可能性が高いが、他方で、冷戦構造によって規定されてきた米国・キューバ関係が、こうした変化とパラレルに関係していないという点を解明する必要がある。すなわち、キューバの対米外交は冷戦構造や在米キューバ系移民の動向以外の要因によっても規定されているという問題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
配偶者の病気もあり、長期間の国内不在を避けるため夏の現地調査は最短期間で実施した。面談予定者の都合によるキャンセルもあり、必ずしも期待通りの成果が得られなかった。2020年3月に予定していたキューバ、メキシコでの調査は、新型コロナウイルスの影響により実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
当面は文献による調査を基本として研究を進める。新型コロナウイルスの状況が大幅に改善され、海外渡航調査が可能な状況になれば、2021年3月までにキューバ、メキシコ、米国での調査を実施する。その見通しが立たない場合は、国内で可能な範囲で文献資料を収集し、その調査結果をまとめ、2021年夏以降の現地調査を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年3月に海外渡航調査を実施する予定であったが、新型コロナウイルスの影響により、当該計画を中止したため。未使用となった予算は、2020年度の研究活動の中で、文献の購入費、備品購入費、人件費(アルバイト)に使用する。
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備考 |
2019年10月27日「冷戦研究会」における討論(於 成蹊大学) 同研究会webページ https://cold-war-sf.blogspot.com/
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