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2020 年度 実施状況報告書

米・西独間における核兵器共有問題の沈静化と国際認識の乖離

研究課題

研究課題/領域番号 18K01476
研究機関広島市立大学

研究代表者

倉科 一希  広島市立大学, 国際学部, 准教授 (00404856)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード米欧関係 / 西ドイツ / 核兵器共有 / 冷戦 / NATO
研究実績の概要

本年度は、国内における論文発表1件、学会発表2件を実施し、研究成果の公表を進めることができた。その一方、新型コロナの流行によって海外史料調査を断念せざるを得ず、研究の進展に大きな遅延が生じた。
本年度の研究によって、1960年代中頃の米欧関係に生じた同盟関係の再構築を、とくにアメリカ側の視点から明らかにすることができた。具体的には、アメリカのジョンソン政権がフランスのNATO軍事機構脱退という同盟の危機を利用してNATOの再編を図ったこと、その際に米・英・西独三ヵ国協調を重視したことを明らかにした。核兵器共有はこの三ヵ国協調を強化し、西ドイツ政府から譲歩を得る手段として利用された。
この知見を、学会発表において理論的・歴史低文脈に位置づけた。理論的には、同盟の制度化として三ヵ国協調を位置づけ、とくに西ヨーロッパ中小国の反発に注目して、制度化の評価を試みた。また歴史的文脈としては、ドイツの対外関係の方向性を懸念する「ドイツ問題」の歴史的展開として三ヵ国協調を理解し、その後の展開を概観することで、三ヵ国協調がこれ以降の米欧関係に影響を与えていたことを示した。この二つの作業のうち、理論的文脈については再検討が必要となっているが、これまでに得た知見の意義を明らかにすることができた。
その一方で、世界的な新型コロナのパンデミックによって各地の文書館が閉館となり、研究を進めるうえで必要不可欠な海外史料調査を延期せざるを得ない事態が生じた。その結果、NATO文書やイギリスの公文書に関する史料調査が進んでいない。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

新型コロナの世界的流行によって、アメリカおよびヨーロッパへの渡航・史料調査が全く行えなかった。その結果、とくにNATO文書館(ベルギー・ブリュッセル)、イギリス公文書館(ロンドン郊外)、アメリカ公文書館(ワシントン郊外)における史料調査を断念せざるを得なかった。

今後の研究の推進方策

研究期間を一年延長し、令和3年も研究を継続する。イギリスおよびNATO本部(ベルギー)における史料調査を行い、これまで明らかにしたアメリカおよび(西)ドイツの政策を相対化する。また、これまでに入手した史料に基づいて研究成果の公開を進め、できるだけ速やかな書籍の出版を目指す。

次年度使用額が生じた理由

世界的な新型コロナの流行によって、海外史料調査を行う予定であった公文書館が閉館となり、渡航もできない状況であったため。
2021年度には、海外史料調査を実施し、また研究成果の発表のために次年度使用額を利用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 米国の同盟政策における核兵器の位置づけの変容―核兵器共有と1966年NATO危機2021

    • 著者名/発表者名
      倉科一希
    • 雑誌名

      国際政治

      巻: 204 ページ: 1, 16

    • 査読あり
  • [学会発表] 冷戦と「ドイツ問題」2020

    • 著者名/発表者名
      倉科一希
    • 学会等名
      日本国際政治学会
  • [学会発表] NATOにおける信頼の動揺と対応策2020

    • 著者名/発表者名
      倉科一希
    • 学会等名
      日本政治学会

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公開日: 2021-12-27  

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