研究課題/領域番号 |
18K01476
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研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
倉科 一希 広島市立大学, 国際学部, 教授 (00404856)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 核共有 / 北大西洋条約機構 / 緊張緩和 |
研究実績の概要 |
新型コロナの流行によって、依然として海外史料調査が不可能であったため、新たな史料収集はかなわなかった。その一方で、研究成果の一部を公表する機会を得ることができ、原稿の作成を進めることができた。これらの成果公表が実現するのは2022年度以降になる予定ではある。 これらの研究成果公表のなかでとくに重要なのは、本研究のテーマの一つである核兵器共有、とくに核政策部会(NPG)の役割について、長期的な視点から検討したことである。NPGがNATOにおける核兵器をめぐるディレンマを解決したものではないことが明らかとなり、核兵器共有の外部に問題解決の手掛かりを求める本研究の主張を補強するものとなった。 一方、核兵器共有の外部にあって米欧関係に影響を与える要因としての東西関係改善について、英語による共著に掲載する原稿作成も進展している。とくに本研究で得たアメリカ側の視点に関する史料を用いて、緊張緩和に対する米欧同盟内の認識の相違を明らかにしようとしている。 また、従来の研究と本研究の成果を統合し、ジョンソン政権期の米欧関係に関する総合的な研究とする作業も進展中である。すでに中心となる章の執筆は完了しており、前史に当たる章の執筆および理論的な含意を導くための終章の構想に取り掛かっている。理論的含意について、本研究は同盟に関する緻密な理論構築を目指すものではなく、むしろ同盟をより広い政治・社会関係に位置付けるための理論的枠組みを提示することを目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナの流行によって海外史料収集の延期を強いられており、このことが研究の進展を遅らせる主な要因になっている。また、2021年度をもって勤務校を退職することになったため、その準備で年度末に十分な研究時間を確保できなかったことも、二義的ではあるが研究の進展を阻害する要因になった。ただし長期的に考えた場合、新本務校が所蔵する史料を活用できるため、今後の研究には利点が大きいと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度には新型コロナの流行も終息しつつあり、海外史料調査が可能になることが期待される。とくにアメリカにおいては、公文書館も徐々に史料調査を受け入れるようになっている。その一方、ウクライナ危機の影響もあってか、NATO本部の史料館は史料調査を受け入れていない状況であり、2022年度中に史料調査を行うことができるか、定かではない。NATO本部については、史料調査の中止も含めて検討する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの流行により、海外史料調査が不可能となったため。本研究の実施においては海外公文書館等における史料調査が必要不可欠であり、これを延期せざるを得なかったため、本研究は停滞を余儀なくされた。 2022年度には徐々に海外史料調査が可能になっているため、調査を実施して研究を進める予定である。現時点では、夏にアメリカ合衆国における史料調査を実施する予定である。
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