研究課題
基盤研究(C)
1920年代-1930年代に形成され始めた難民に関する国際レジーム(難民レジーム)において、無国籍がどのような意義を持っていたのかを考究した。具体的には、難民レジームのアクターの無国籍に対する認識がヴェルサイユ体制の下で構築されたこと、無国籍の原則・規範・ルールが主要国家の安全保障観と国益により形成されたこと、さらに1930年代になると難民性が強調され、無国籍性の国際規範と分離するようになったことを説明できた。
国際法、国際関係論
これまでの無国籍研究では、「防止・削減」規範の源の一つとなった1930年代の条約への付言はあっても、戦間期の無国籍に対し国際関係学からアプローチすることはほとんどなかった。難民研究の文脈でも当時の無国籍性への言及はあったが、これを中軸に据えた先行研究はほとんどなかった。黎明期の難民レジームを調査対象とした本研究は、レジーム論を用いることにより、無国籍研究と難民研究の共通の隙間を埋め、両者を理論的に架橋することに貢献した。