研究課題/領域番号 |
18K01480
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
大森 佐和 国際基督教大学, 教養学部, 上級准教授 (20419253)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 国際通貨基金 / 金融改革 / 金融自由化 / 世界銀行 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、グローバル化の推進者であり新自由主義改革の推進者であるとみなされてきた国際通貨基金(IMF)と世界銀行(WB)が、アジア金融危機以降、特に世界金融危機以降加速させてきた改革を通じ、不透明性を増す現在の国際社会にあって、果たして主要国の国益追求を求める声の中にあっても、世界金融システムの安定や貧困削減というグローバルな公益をもたらす上での役割を果たすのに十分な変容を遂げてきたかを検討することにある。 このため、IMFやWBが加盟国に対してどの程度グローバル化の推進者として経済金融自由化に影響を与えてきたか、世界金融危機後にその影響がどの程度変容したかを、加盟国の対外的・国内的な金融改革を分けて検討を行う計画で、計量分析を進めてきた。2019度はフィードバックを得るために、二度学会発表を行った。一度目は、シンガポールで開かれた、International Studies Association Asia Pacific Conferenceで2019年7月5日に、また成蹊大学で開かれた日本政治学会で2019年10月6日に学会発表を行った。 そこでは、発表論文についての有益なコメントをフィードバックとして得ることができた。さらに改稿した論文を2020年3月に、ハワイでInternational Studies Association Annual Conventionで発表予定であったが、新型コロナウイルスの影響で学会の開催が中止となった。現在は論文投稿に向けて引き続き改稿中である。フィードバックをもとに、よりIMFと国内政治要因との比較に焦点をあて、IMFと世界銀行の協働関係とその金融改革へのインパクトについては別の論文とする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度は、国際学術雑誌への投稿に向けて論文を改稿して、学会にて二回発表を行った。本研究の目的とするところである、IMFとWBの金融改革に対する影響で、IMFとWBが相互に融資プログラムj決定に影響を与え合っていることを、統計モデルを用いて示していたものの,IMFとWBの相関関係は示されているが、因果関係が示されるところまで分析されていない点、計量のみでなく事例を盛りこみ論文を書いた方がよいとのフィードバックを二回の学会報告でいずれからも指摘された。また、対外向けの金融政策に、国際金融規制基準のバーゼル規制を入れることの是非、むしろこれは国内向けの金融改革ではないのか、との指摘も得た。これらのフィードバックを受けて改稿中である。 また、金融改革データベースの公開に向けてデータ紹介論文のためにデータベースの図表の作成をRAに依頼する予定で準備を進めていたが、新型コロナウイルスによる大学封鎖の影響で、統計ソフトを用いた作業を含む仕事のRAへの依頼が、大学封鎖によるリモート環境のみに置かれたために難しくなり、データベース紹介論文に用いる図表の作成がやや遅れがちである。
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今後の研究の推進方策 |
IMFやWBが加盟国に対してどの程度グローバル化の推進者として経済金融自由化に影響を与えてきたか、世界金融危機後にその影響がどの程度変容したかを、加盟国の対外的・国内的な金融改革を分けて検討を行うという研究計画に対して、二度の学会のフィードバクを受けて、国内政治要因とI、IMFやWBなどの対外的要因との影響の比較的な大きさにより明確に焦点を当てるために、対外的金融改革と、国内的金融改革への影響を、世界銀行とIMFのインパクト両方と、国内政治要因のインパクトと比較していたが、論文がIMFとWBがどう協働して金融改革に影響を与えるかの内定的処置の妥当性の説明に終始するきらいがあるので、IMFによるインパクトと国内政治制度との比較とし、WBはIMFプログラムの決定要因の一つとすることにとどめることとした。WBとIMFの双方が影響し合う処置効果としてみる金融改革へのインパクトとその影響は、これ自体をもう別の論文としてDID分析と合わせて内生的処置としてそのインパクトを見る論文として扱うか、データ紹介論文のモデルとして行うかとし、今年度進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
出席予定であったInternational Studies Associationがキャンセルとなったため参加費用が未使用となった。
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