研究課題/領域番号 |
18K01480
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
大森 佐和 国際基督教大学, 教養学部, 上級准教授 (20419253)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 国際通貨基金 / 金融改革 / 政治制度 / 世界金融危機 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、グローバル化の推進者であり新自由主義改革の推進者であるとみなされてきた国際通貨基金(IMF)と世界銀行(WB)が、アジア金融危機以降、特に世界金融危機以降加速させてきた改革を通じ、不透明性を増す現在の国際社会にあって、果たして主要国の国益追求を求める声の中にあっても、世界金融システムの安定や貧困削減というグローバルな公益をもたらす上での役割を果たすのに十分な変容を遂げてきたかを検討することにある。 2020年度は引き続き、国際金融基金(IMF)プログラムの金融改革への影響を外向きと内向きの金融改革に分け統計分析した。米国のIMFプログラム決定への影響は世界金融危機後には消失している。また、外向きの金融改革にIMFプログラムが影響を与えるのは、82年から2007年の新自由主義の期間と、低所得向けの譲許利子率適用のプログラムのみであった。 オンライン環境下で、十分にリサーチアシスタントによる研究補助を得ることが難しく、研究は遅れがちとなったが、学会論文をオンラインのSouthern Political Science Associationで発表した。論文をまとめたことには意義があったが、オンライン会議で、私の討論者には、英語ができない同じパネルの発表者が討論者を割り当てられたため、全くフィードバックを得られなかった。現在は、この論文を査読付きの海外学術雑誌に投稿中である。 世界金融危機後の中国の台頭によるIMFプログラムへの影響についても、中国海外援助データから変数を作成し、統計分析を行い始めた。引き続きデータセットの構築や分析などが必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は引き続き、国際金融基金(IMF)プログラムの金融改革への影響を外向きと内向きの金融改革に分け統計分析した。オンライン環境下で、十分にリサーチアシスタントによる研究補助を得ることが難しく、すべてのIMFプログラムの変数作成や、中国の対外援助のデータ変数作成などを一人で行っているために、時間が通常よりもかかり、統計分析などに遅れが生じている。
また前述のように海外の学会にオンライン参加したが、英語ができない発表者が発表する米国の学会を初めて体験し、対面の学会のようにはフィードバックが得られなかった。
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今後の研究の推進方策 |
金融改革データベースを紹介する論文を執筆し国際学術雑誌に投稿する。 中国の台頭により、従来米国が強い影響を持ってきた、IMFプログラムへの影響力には変化がみられている。次回のクオータ改革では、中国が日本を抜いて出資第二位になるのは確実な情勢の中で、IMFによる金融支援や「最後の貸し手」としての国際金融システムの安定というIMFがもたらす国際公共善には影響があるのかないのか、を考え検討する論文を執筆して学術雑誌に投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、オンラインで、院生に統計ソフトの使用方法を十分に教えることができず、院生をリサーチアシスタントとして雇用してデータ作成補助や表作成を行うことができず、すべて一人でオンライン授業などを行う中で作業していたために、研究に遅れが生じたため、差額が生じた。 また、海外での学会発表が、オンラインにて参加せざるを得ない状況となったことでも残額が生じた。 2021年度は論文投稿にあたっての英文校閲費用や、投稿が受理された場合のオープンアクセスの費用などに科研費を使用してゆく予定である。
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