研究課題/領域番号 |
18K01484
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
稲田 十一 専修大学, 経済学部, 教授 (50223219)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 国際援助体制 / 中国の援助 / カンボジア / ミャンマー / 中国モデル |
研究実績の概要 |
2021年度もコロナ禍の世界的蔓延のため海外現地調査ができず、国内調査をもとに研究成果のとりまとめに注力した。2021年度中の研究成果発表は以下の通りである。 カンボジア事例について、2022年3月に『専修大学社会科学研究所・社会科学年報』第56号にて「カンボジア開発過程への中国の影響-国際援助協調の衰退と権威主義化の連動の分析」と題する論文にて研究成果を公表した。 他方、中国の国際開発援助体制へのインパクトや課題については、2022年3月に『経済・安全保障リンケージ研究会報告書』(日本国際問題研究所)にて「途上国のインフラ開発と日中の対応─国際的枠組みの強化に向けて」と題する論文を発表した。 また、2021年度および2022年度に、専修大学社会科学研究所において「ポストコロナ時代の中国の国際経済秩序に対するインパクトの研究」をテーマとする研究会を研究代表者として立ち上げ、合計10回を超える研究会などを通して、内外の関連研究者に報告を依頼し関連研究についての知見を深める一方、当方の研究成果を報告し関連研究者と意見交換を行ない比較分析を深化させた。2022年7月には、国際学会(International Political Science Association [IPSA]、コロナ禍のためオンライン開催)で、中国の圧倒的な規模の支援を受けるアンゴラと欧米・国際機関の支援を受けて国づくりを進める東ティモールを比較した「The Paths to Democracy in Former Portuguese Colonial States: Comparative Analyses of Angola and Timor Leste」と題する英語論文を発表し、関連研究者との議論を通じて研究を深めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度もコロナ禍の世界的蔓延のため、計画していた海外現地調査ができず、国内調査をもとに研究成果のとりまとめに注力した。研究成果をとりまとめた論文は着実に成果を発表できたが、現地調査ができなかったため予算消化が進まず、残った予算は次年度に繰り越した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果について、関連研究者との研究会や学会報告を通じて意見交換しコメントを得て最終的な結論につなげる。研究成果のとりまとめにあたっては、中国の援助が急増している幾つかの地域を比較することが有益であり、これらの地域・国々のケースについては、関連文献を読み込み、研究会などを通して関連研究者と意見交換を行ない、比較分析を深化させてく。また、世界銀行など既存の国際援助体制側からの視点も確認しながら、中国の援助や中国主導の援助枠組みの国際的意義・限界・課題についての議論を整理・分析する。 2022年度中にコロナ禍が終息し海外現地調査が可能であれば、カンボジアなどの中国の経済進出が顕著な途上国での現地調査を実施したい。また、2022年度末の3月には、世界銀行本部や有力シンクタンクのある米国ワシントンDCでの現地調査を実施する予定である。 なお、研究成果は、学術論文の形で公開するだけでなく、より広い議論の展開につなげるために可能な限り出版をめざす。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため、計画していた現地調査などが実施できなかったため、予算を次年度繰越とした。 2022年度中に、研究対象の開発途上国(カンボジアなど中国の経済進出が顕著な途上国を想定)での現地調査を実施するとともに、2022年度末の3月には、世界銀行本部や有力シンクタンクのある米国ワシントンDCでの現地調査を実施する予定である。
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