研究課題/領域番号 |
18K01489
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
伊藤 剛 明治大学, 政治経済学部, 専任教授 (10308059)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 米中関係 / 日中関係 / 米中戦略経済対話 / 海洋安全保障 |
研究実績の概要 |
2020年度は活動が大きく制限されたため、限定的な実績しか蓄積できなかった。それでも、これまで収集した資料に基づいて、以下のオンライン会議等を通じて、研究発表を行うことができた。 第一に、学会誌に二本の論文と同時に、その他の活動として新聞紙上に「コロナ後の国際社会」と題して、今後の米中関係についての寄稿を行った。また、学会誌において現代国際関係についての書物について書評論文を執筆することができた。どちらも、本研究課題から得ることができた知見に基づいて執筆を行っている。 第二に、この科研を紹介すると同時に、研究の社会的還元活動として、インターネット上に現在の米中関係についての寄稿を行った。元来は教育用ツールであろうが、中国の経済力が大きくなった21世紀以降の米中関係を概観する鳥瞰図を提出するには、良い機会であったと考えている。 そして第三に、研究発表についてはオンライン上であるが、海上安全保障について上海社会科学院との間で意見交換を行うことができた。中国とのオンライン上での会議においては、常にモニタリングによる自由な意見の表明に気を使う。課題が大きい日中関係だけに、海洋問題とその利用方法については、潜在的には多くの可能性を持っていながら、目の前の領土・領海問題に時間とエネルギーを割かれるため、討議の内容と同時に、その会議の開催方法についても工夫が必要である。 以上、限られた範囲であるが、調査を行わず現状で手に入る情報と資料の範囲内で成果を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度においては、他の研究者もそうだと思うが、海外出張に出られない状態で米中関係や国際情勢について得られる資料は、ネットを通じてのものか、日本にいる大使館・多国籍企業等で勤務する人からのインタビューを通じてしか得ることができなかった。 もっとも、アメリカ議会の公聴会等の資料は現在ネットを通じて収集が可能であり、公的な場における意見表明については、日本に居ながらにして検索することが可能である。そういった資料収集方法も含めて新規の方法を検討する必要があるだろう。
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今後の研究の推進方策 |
アメリカはトランプ政権においても政治的手段を用いて中国製品への関税強化、特定中国企業の締め出し等を目指していたが、途上で大統領選挙において交代を余儀なくされた。バイデン政権に替ってから対中政策がいっそう厳しくなって来ており、その意味でここ数ヶ月に起こったことはしばらくの間継続することが考えられる。そうすると、「自由主義」「保護主義」といった原則と、実際の政策との間に乖離が存在する可能性も出てきた。こういった点について、研究を続けていきたいと考えているが、ひとまずは日本国内で得られる資料の収集と検証に時間を当てたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスが理由で海外渡航ができず、調査が実施できないため。
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