研究課題/領域番号 |
18K01492
|
研究機関 | 名古屋商科大学 |
研究代表者 |
溝渕 正季 名古屋商科大学, 経済学部, 教授 (00734865)
|
研究分担者 |
小泉 悠 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任助教 (10817307)
今井 宏平 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター中東研究グループ, 研究員 (70727130)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 国際政治 / 地域研究 / 安全保障 / 地域秩序 / 覇権 / 地域的安全保障複合体(RSC) |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、主として2011年の「アラブの春」以降のペルシア湾岸地域に焦点を当て、「中東の地域秩序形成において域外大国はどのような役割を果たしているのか」という問いに答えを見出すことである。その上で、地域秩序を分析するための一般化された新たな枠組みを提示することを目指す。具体的には、①域外大国がどのような中東地域秩序観を構想しているのか、②その実現のためにどのような戦略を追求しているのか、③域内主要国がこうした域外大国の戦略をどう利用しているのか、を明らかにする。そして、中東の地域秩序は域外大国と域内主要国の秩序観の競合の場として構築されている、との仮説を検証することを目的としている。
研究計画一年目では、主に域外大国、とりわけアメリカの対中東関与のありようについて研究を行い、以下のような暫定的な結論を得た。すなわち、冷戦終結以降にアメリカ主導の下で構築されてきた中東の「非リベラルな覇権」は、一見すると安定した、強固な地域秩序であるかに思われた。そして事実、この地域秩序は冷戦終結以降、およそ20年にわたって維持されてきた。しかしながら、それは実際のところ、抑圧された人々の上に成り立つ、不安定な、ミクロレベルにおける正統性/正当性を欠いた地域秩序に過ぎなかった。2010年以降のいわゆる「アラブの春」とは、すなわちアメリカ主導の「非リベラルな覇権」に対するミクロレベルでの明確な異議申し立てであり、この大規模な政治変動を契機として、中東の安全保障秩序は大きく動揺することになったのである。
2019年度にはロシアと中国の対中東関与のありようについて検討する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画一年目の2018年度においては、個々の構成メンバーが独自に資料収集やフィールド調査を行い、個々人の問題関心に鑑みて予備段階の調査を遂行した。よって、概ね順調に研究は進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
研究計画2年目の2019年度には、個々のメンバーの研究を総合し、中東地域秩序の形成過程における域外大国と域内主要国の競合について、さらに研究を進めていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2018年度は地域情勢の悪化によりフィールド調査に出ることができないメンバーが出たため、旅費として計上していた費用がわずかに余ることになった。したがって、2019年度は中東地域ではなく欧米諸国への出張へと切り替えることで研究をさらに進展させることとしたい。
|