研究課題/領域番号 |
18K01493
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
小尾 美千代 南山大学, 総合政策学部, 教授 (70316149)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 再生可能エネルギー / アメリカ中間選挙 / 州知事選 / 気候変動対策 / 州政府 |
研究実績の概要 |
本研究は、気候変動への重要な対応策である再生可能エネルギーの導入拡大に注目し、温室効果ガス排出大国のアメリカにおける再生可能エネルギー市場の社会的構築の解明を目的としている。分析対象としては、再生可能エネルギーを実際に導入しているアクターとして、州政府や主要都市の準国家アクター、多国籍企業や大手金融機関などの民間アクター、国防総省および米軍を中心とする軍事アクターを取り上げ、特にリスク対応の観点における再生可能エネルギー導入の戦略性に焦点を当てている。2018年度は4年間の研究計画の初年度にあたり、米国では2018年11月に中間選挙が行われたことをふまえて、特に州知事選挙の結果を中心に研究を行った。 2018年11月の中間選挙では36州で州知事選挙が実施された。その結果、気候変動対策に積極的な民主党が14州で勝利し、そのうち7州では共和党からの政権交代となった。また、メイン州、ニューメキシコ州、イリノイ州ではクリーンエネルギーが知事選の争点となり、いずれの州も積極的に再生可能エネルギーを推進する方針を掲げた知事が当選した。これらの研究結果については2018年12月22日に名古屋大学にて開かれたグローバル・ガバナンス学会の第8回研究会で報告を行った。その後、2019年3月にはカナダで開かれた国際関係学会に出席し、理論研究を含めた最新の研究動向や実態について把握した他、研究者との意見交換を通じてさまざまな知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究初年度にあたる本年度は関連する文献や資料収集を主に行い、それぞれのアクターに関連したデータなどについては概ね順調に収集することができた。また、2018年11月に行われた中間選挙における州知事選挙の結果、再生可能エネルギーの導入に積極的な知事が当選するなどいくつか変化がみられたことからこの点に注目した分析を進め、グローバル・ガバナンス学会の研究会で成果を報告する機会を得た。しかしながら、研究成果の公表準備にあまり時間を充てることができず、結果的に論文として発表できなかったため、「やや遅れている」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後も研究計画に沿って、州政府や主要都市の準国家アクター、多国籍企業や大手金融機関などの民間アクター、国防総省および米軍の3つのアクターを分析対象として、研究を進めていく。昨年度は成果報告には至らなかったものの、米軍に関する報告書などの収集をできたことから、こうした資料を含めてこれまでに収集できた文献や資料まとめつつ、新たなデータについても適宜収集、整理しつつ分析を進めていく。 また、2018年度は業務の時間配分にかかわる時間管理に課題があったため、今年度については他の業務との兼ね合いを十分に考慮したスケジュール管理・業務管理をすることで、本研究に従事する時間を確実に確保することで研究を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度は予定していた物品購入として、新型モデルの発売のタイミングからノートPCの購入を見送ったために次年度使用額が生じてしまったが、2019年度については早い段階で物品の購入を行い、研究作業に充てていく予定である。
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備考 |
グローバル・ガバナンス学会第8回研究会(2018年12月22日13:00-14:50、名古屋大学東山キャンパス)において「2018年中間選挙結果から見るアメリカ気候変動対策の行方ー州政府によるクリーンエネルギー政策を中心に」とのタイトルで研究報告を行った。
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