研究課題/領域番号 |
18K01502
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
堀 健夫 東京工業大学, 工学院, 准教授 (80547513)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 研究開発リスク / 起業のリスク / 経済成長 / バブル / 金融政策 |
研究実績の概要 |
本研究課題の論文の一つ" Monetary Policy, Financial Frictions, and Heterogeneous R&D Firms in an Endogenous Growth Model"が査読付きの国際的学術誌Scandinavian Journal of Economicsに受理された。この論文では、研究開発のリスクがある経済成長モデルの枠組みで、最適な金融政策を分析した。研究開発能力が企業により同質な場合と異質な場合で結果が異なることを明らかにした。研究開発能力が同質な場合は、インフレ率を低く抑えるべきであることを示した。一方で、異質性がある場合は、社会厚生を最大にする正のインフレ率が存在することを示した。 2020年2月には高知大学で本研究課題の一部である「研究開発のリスクとバブル経済」に関する研究報告を行った。この研究は分析の大部分を終えており現在論文を執筆中である。この研究では、非常にシンプルな経済成長モデルを用いて、研究開発や起業のリスクがあるとき、バブル経済が発生することを示した。バブルの存在が経済成長率を高めるメカニズムを明らかにした。近年の日本やアメリカの長期にわたる不況が、バブル崩壊によって説明できることを明らかにした。バブル崩壊により企業の廃業が多くなり投資が落ち込み、家計の消費が減少するメカニズムを分析した。また、短期的な技術ショックが永続的に経済活動を抑制する可能性を示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、本研究課題の成果として1本の論文が査読付きの国際的学術誌に受理された。 また「研究開発のリスクとバブル経済」の研究では分析を終え、論文執筆を開始した。
|
今後の研究の推進方策 |
2020年度中に「研究開発のリスクとバブル経済」に関する研究を論文にまとめ、査読付きの国際的学術誌への投稿を目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
「研究開発のリスクとバブル経済」の研究の過程で、イギリスのRoyal Holloway大学のTomohiro Hirano 准教授と研究打ち合わせのためにロンドンへ渡航する費用が必要である。その経費として次年度使用額が生じた。
|