研究課題/領域番号 |
18K01506
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
平井 俊行 富山大学, 経済学部, 准教授 (00383951)
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研究分担者 |
坂東 桂介 信州大学, 学術研究院社会科学系, 講師 (50735412)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 多者間マッチング / 安定性 / 特許 |
研究実績の概要 |
本年度は研究計画初年度ということもあり、多者間マッチングおよびその基となっている(通常の)二者間マッチングについての文献のレビュー、分析に必要となるハイパーグラフ理論やグラフ理論の習得および他者間マッチングの応用先についての理解を深めるために特許ライセンス制度やサプライチェーンの実務についての文献購読などもおこなった。 また、本研究計画の基礎となる研究である、選好にほぼ仮定を置かないが締結可能な契約の構造に非常に強い条件をおいた多者間マッチングについての成果を整理しなおした。そのうえで、選好に一定の仮定を置いた場合にどの程度締結可能な契約の構造についての条件を緩めても同様の結果、すなわち安定な帰結の存在や効率性が保証できるかについての分析に着手した。 さらに、特許ライセンスを多者間契約として定式化したモデルについて上記とは異なる安定性を持つ契約について分析をおこなった。特許ライセンスでは、ある企業にとって他の企業へのライセンスの有無は自身の利潤に影響してしまう。そのため、特許権者がライセンスする企業を勝手に変更できないことをライセンス契約に盛り込んでいる状況を想定している。このときに、特許権者とライセンスされる企業のあいだである種の安定性を持つような利潤配分について分析した。具体的にはライセンスされた企業がある一定の利潤を得ていてかつ特許権者はそれを所与としたうえで自身の利潤を最大にするようにライセンス企業数を選ぶという契約がある種の安定性を持つことを示した。(共同研究)当該研究成果は国内外の学会で発表したうえで、専門論文誌へ投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は応用的な研究について一定の成果を得たものの中心的な課題と考えていた、選好に一定の仮定を置いた場合にどの程度締結可能な契約の構造についての条件を緩めても安定な帰結の存在や効率性が保証できるかについての分析を終わらせることができなかった。また、多者間マッチングの応用先の実務についての情報収集を学会やシンポジウムなどで行う計画だったが、校務やより優先度の高い学会と日程が重なったことで参加できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も引き続き選好に一定の仮定を置いた場合にどの程度締結可能な契約の構造についての条件を緩めても安定な帰結の存在や効率性が保証できるかについての分析を中心的な課題として進めていく。既存の概念を発展させることが必要になる可能性もあるので、ハイパーグラフ理論の学習をさらに進める。さらに、多者間マッチングの応用先への理解を深めるため、文献購読のみならず、制度や実務についての学会・シンポジウムに参加し積極的に情報収集をおこなっていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
成果発表をおこなううえで校務の都合上参加可能な中で今年度もっとも適切な学会が台湾で開催されたため、想定していたよりも旅費が安くなった。また、「進捗状況」でも述べた通り研究成果の応用先の制度や実務の情報収集のためシンポジウムや学会に参加する予定だったが、校務やより優先度の高い学会と日程が重なってしまい参加できなかった。本年度未使用額はこのような制度・実務に関する情報収集のためのシンポジウムや学会を中心とした旅費として使用する計画である。
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