研究課題/領域番号 |
18K01508
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
石黒 真吾 大阪大学, 経済学研究科, 教授 (60288496)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 契約理論 / ゲーム理論 / ミクロ経済学 / 企業組織 |
研究実績の概要 |
企業組織の構造とダイナミズムに関する理論的研究を推進した.具体的な研究内容は以下のとおりである.第一に,企業の経営スタイルや経営規律が時間を通じて変化する様相を理論的に分析した.とりわけ,企業の経営規律が通時的に上がり下がりする要因を理論的に分析する枠組みを提供した.第二に,明示的契約によらない長期的関係にある取引関係者が内生的に暗黙の契約を履行する誘因を,貯蓄や借り入れといった信用市場へのアクセスとの関連において分析した.経済主体が資産を蓄積していく過程において,長期関係に基づく暗黙の約束を履行する誘因が容易に満たされるかどうかを理論的に検証した.これらの研究に関連した2019年度の主な研究実績は,海外の研究機関における短期滞在を中心として,国際的な研究報告や国際共同研究を推進したことである.具体的には,シドニー工科大学ビジネススクールに滞在し(2019年5月~6月),同大学および近隣の大学において学部主催の定例研究会にて自身の研究報告を行った(2019年6月).また,シドニー大学およびモナシュ大学における関連分野の複数の研究者と,企業組織の動学構造に関する国際共同研究を推進することに成功した.国内においても,慶應義塾大学(2019年11月)や大阪大学(2019年12月)における定例研究会にて研究報告を行うとともに,国際学会である環太平洋IO学会(Asian Pacific Industrial Organization,2019年12月,一橋大学)において研究報告を行い,関連分野の海外研究者との意見交換や情報共有を行うことが出来た.以上,2019年度は,上記の研究活動を通じて,国際的な研究発表と国際共同研究を推進する成果を挙げることができ,企業組織のダイナミズムに関する複数のプロジェクトを推進することに成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目標であった短期在外研究と国際的な研究推進が順調に遂行された.シドニー工科大学ビジネススクールにおける滞在(2019年5月~6月)をはじめ,海外の研究者との研究交流や国際共同研究を推進することが出来き,当初予定していた研究以外にも新しい研究を発展されることができた.また,シドニー工科大学滞在時における研究会報告や国際学会(環太平洋IO学会,2019年12月,一橋大学)での報告を通して,これまで進めていた研究を大きく前進させることにも成功した.加えて,海外の研究機関(シドニー大学経済学部,モナシュ大学経済学部)における複数の研究者と国際共同研究をスタートさせ,新しい研究アイデアを発展させることが出来た.
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今後の研究の推進方策 |
2019年度に発展させた国際共同研究をさらにすすめ,これまでに部分的に完成している研究プロジェクトについて論文の最終完成にこぎつけるとともに,国際査読雑誌への投稿を準備したいと考えている.また,渡航規制や感染状況の終息状況をみながら,海外の研究機関における共同研究者との研究打ち合わせやそれら海外の研究機関で研究報告を行う予定である.海外渡航が不可能な場合にも,オンラインを通じた形式で,国際共同研究を推進するととともにウェブセミナーでの報告を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年3月に国際共同研究実施のためにシドニー大学経済学部に短期滞在を計画していたが,新型コロナの感染リスクを考慮して渡航を延期したため,当該計画の遂行が断念された.これによって生じた未使用額分については,次年度において,渡航先の感染状況等を確認しながら,中断された国際共同研究を遂行するために使用する予定でいる.
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