高所得層の所得はパレート分布に従うことが知られている。また,近年,経済間の不平等は減少していることも報告されている。この現象に着目し,経済学的なメカニズムを解明するための研究を行った。手法としては,理論的なモデルを構築し,それに基づく数値計算も用いた。例えば,構築した一つの世界経済モデルは産業革命が英国から世界に伝播した過程を捉え,その初期段階では経済間の所得格差が上昇するが,産業化が十分に広がると所得格差は逆に現象することを示した。そして,その裏にあるメカニズムが技術進歩を促す企業の参入と研究開発であることを明らかにした。また,他のモデルでは所得がパレート分布に従うことも示した。
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