労働者の仕事(タスク)に対する得手不得手を考慮する場合、就職の際、ミスマッチ確率がどうなるかを調べる。この研究を、2つの方向性で研究を行った。 1つ目は、労働者のメインタスクを考える。そのタスクが機械化された場合、失業や過少雇用への影響を調べる。ミドルスキルの機械化現象は多く報告されているので、まず、ミドルスキルの労働者に注目する。不得手な仕事が機械化された労働者のミスマッチ確率が下がり、反対に、得手な仕事が機械化された労働者のミスマッチ確率は上昇する。これら2つの影響は平均的には経済全体で中立化されうるが、分散は発生する。そして、ミスマッチ確率の上昇した労働者は、適切な仕事が見つからないため、あきらめてロースキルの仕事に就く過少雇用が増える。このことを考えると、そもそも、ミドルスキルたのための技能習得をやめる可能性も出てくる。この研究は、Macroeconomic Dynamicsに掲載された。さらに、低能力の労働者に注目し、ロースキルの仕事が機械化された場合を考える。機械により置換された労働者は、そもそもの得手な仕事が少ないため、得手と不得手の仕事の機械化が経済全体でも中立化せず、結果、失業率が上昇するをことを示す。そして、新たな仕事の創出があったともしても、必ずロースキルの失業を下げるわけではなく、下げるための条件を示した。この研究は、現在、ジャーナルから改訂を要求されている。 2つ目は、高能力の労働者に関しては、マルチタスクであり、その一部のタスクが機械化された場合を考える。人的資本の形状次第で、機械化により労働効率が上がる場合と下がる場合があることを示した。同様に、新たなタスクの創出の影響も考える。この研究は、DPとしてまとめている。
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