研究実績の概要 |
本年度の主な実績は、以下の二点である。 第一に、「A conditional match rate anomaly and an order change pressure in residency matching programs」が、国内査読学会で、報告された。臨床研修マッチングのデータに日米に共通して観察される傾向として、リスト二位以下のプログラムについては上位でマッチしなかった条件付きでのマッチ率がほぼ一定であるのに、一位のマッチ率だけそれらより急に高くなっている。実効的な順位上げ圧力はアクセプトするプログラムのみから、一位に書かせる形でのみ、生じると仮定することで、シンプルにこのパターンを再現できる。両国に共通するマッチングアルゴリズムの特性上、リスト一位のプログラムがアクセプトするプログラムであれば必ずマッチできるので、それにも関わらず一位とマッチできなかったと言うことは、その様なプログラムが一つも無かったと言うことになり、またしたがって、二位以下は皆その様な(アクセプトする)プログラムでは無いと言うことになるからである。 第二に、国際的査読誌に、「Corrigendum to "Efficiency and stability under substitutable priorities with ties" [J. Econ. Theory 184 (2019) 104950]」が公刊された。これは、「A comment on "Efficiency and stability under substitutable priorities with tie" [J. Econ. Theory 184, 104950]」が、comment対象論文の著者からの、corrigendumとしての内容追加の申し出を受け、彼らが著者に加わり、書き改められたものである。
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