本研究では、複数の地域(我が国における都道府県等)に便益が及ぶ公共財供給が、関連する地域の交渉により実現する状況を考察する。本研究では、地域間交渉において発生する「戦略的委託問題」を対象とし、その深刻さの程度をより厳密に解明した上で、問題解決のための経済政策・制度設計を検討する。本研究では、公共財が二地域で行われる状況では、戦略的委託問題が深刻な問題となりうるため、それを解決するための制度設計が必要となるが、公共財が三地域以上で行われる場合では、先行研究が指摘するほどには、問題は深刻にならない可能性があることを指摘した。
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