この研究課題を通じて得られた主な研究成果は、以下の通りである。(1)財の耐久性の違いや価格粘着性に関する異質性を考慮した際、不確実性ショックに対する反応が実証分析結果と整合的であるためには、生産要素が部門間で非流動的である必要性を示した。(2)労働者の特性の違いを考慮した際、知的資本の生産を担う労働者の割合は極めて小さいにも関わらず、彼らの賃金粘着性度合いが、金融政策の有効性を与えることを明らかにした。(3)新型コロナウィルスが経済に与える影響を分析し、家計の主観的な感染状況に対する認識と真の感染状況との間の乖離が、感染症対策と経済活動のトレードオフに大きな影響を与えることを明らかにした。
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