研究実績の概要 |
金融政策が経済成長に与える影響について定性・定量両面から分析を行った. 本プロジェクトは当初の計画以上に進展しており, 当該分野の研究の次の一歩につながるような発展的内容も含まれている. ①望ましい経済政策の在り方が, 国民性や文化によって異なる可能性について, 理論・実証両面から分析を進めている. 特に, 「新しいモノずき」な国民性 (文化的選好)が国家・地域間で異なるという事実に注目して, 「新しいモノずき」な国民性と金融政策の関係についての研究を開始した. 第一歩として, 「新しいモノずき」な国民性がマクロ経済パフォーマンスに与える影響を分析可能な動学的一般均衡モデルの構築および精緻化を行った. 結果, 「新しいモノずき」な性質が, 必ずしもマクロ経済成長に寄与しない可能性が明らかになった. ②金融政策が, マクロレベルのビジネス・ダイナミズム(企業の参入・退出プロセス)に与える影響のついて分析を進めた. イノベーションに基づく内生的成長モデルを使って, 低金利政策が参入率・退出率を低下させ, ビジネス・ダイナミズムの停滞をもたらすメカニズムを発見した. これはクロス・カントリーデータを使った実証結果とも整合的である. プロジェクト全体を通して, 金融政策が経済成長に与える影響について, さまざまな角度から分析を進めてきた. 後半では, 所期目的を深化させ, 文化やビジネス・ダイナミズムという研究の次の一歩となる分析にも着手した, なお, ほぼすべての論文が国際共同研究に基づいている. 相手国はUniversity of Macau, Queen Mary University of London, Fudan University, Duke University, IESEG Management School Paris などが含まれる.
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