研究課題/領域番号 |
18K01524
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
桃田 朗 立命館大学, 経済学部, 教授 (30309512)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | マクロ経済学 / 人口経済学 / 経済成長理論 / 少子化・高齢化 / 長寿化 |
研究実績の概要 |
このプロジェクトの目的は、長寿化と人口減少が続くなか、わが国の社会、経済構造がいかなる方向に変化するかについて、ビジョンを提供できるような経済理論モデルを探ることにある。世界に先駆けて年少人口比率の減少、老年人口の増加が急速に進むわが国の実態にもとづいて、人口とマクロ経済の相互関係を理論的に考察し、望ましい政策のあり方を学術的な観点から提言する。 プロジェクト2年目となる2019年度には、前年度にひきつづき、「寿命の伸長とともに、現役期間(教育、労働に携わる期間)が長くなる場合、教育や働き方がどのように変化するか」を理論的に考察した。特に、学校教育を人々の生涯にわたって分散させる「リカレント教育」の機会を考慮した理論モデルを構築し、望ましい人的資本蓄積のあり方を考察した点に、この研究の独自性がある。この点について、(1) 現役期間の長さが、ある閾値よりも長くなる場合には、リカレント教育を受けることが望ましいということ、 (2) リカレント教育を後々に受ける機会があるからといって、若いときに勉強を怠るべきではないこと、(3) リカレント教育を受ける際、中途半端な努力で臨むならば、リカレント教育を受けない場合よりも、生涯所得は下がる、という結果を理論的に導いた。2019年度には、この結果を論文にまとめ、国際的な査読付き学術雑誌に投稿した。 加えて、上記の論文で構築した理論モデルでは、経済成長率を外生的であると仮定したが、その点を拡張したモデルの構築も試みている。 また、近年には経済主体を同質的と仮定せず、異質性をもつことを明示的に扱うマクロモデルが発展してきている。人口問題を考えるときにも、これは重要な要素であるため、それに関する知識の習得も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度には、予定していた課題内容に対して分析結果を得て、それを論文として投稿した。それに加え、現在は、投稿した論文の理論モデルをさらに拡張した枠組みの検討も行えている。これらを勘案すると、現時点では、本プロジェクトはおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度には以下のことを行う予定である。 (1) 2019年度に査読付きの国際学術雑誌に投稿した論文の改訂作業を行う。 (2) 現在の理論モデルの拡張を検討し、分析を行う。 (3) 前年度より行っている、異質性をもつことを明示的に扱うマクロモデルについての勉強を続け、それの応用可能性についても探る。 研究成果は学術論文の形でまとめ、それを国際的査読雑誌に投稿するともに、国内外の研究会や学会で発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)2019年度中に行っていたプロジェクトに関して、海外出張を予定していたが、公務の都合でそれが行うことができなかったため。 (使用計画)研究プロジェクトに関する研究打ち合わせ、研究上有用な学会への参加、論文の英文校正等にあてる予定である。
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