研究課題/領域番号 |
18K01524
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
桃田 朗 立命館大学, 経済学部, 教授 (30309512)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | マクロ経済学 / 人口経済学 / 経済成長理論 / 少子化・高齢化 / 長寿化 |
研究実績の概要 |
このプロジェクトの目的は、長寿化と人口減少が続くなか、わが国の社会、経済構造がいかなる方向に変化するかについて、ビジョンを提供できるような経済理論モデルを探ることにある。世界に先駆けて年少人口比率の減少、老年人口の増加が急速に進むわが国の実態にもとづいて、人口とマクロ経済の相互関係を理論的に考察し、望ましい政策のあり方を学術的な観点から提言する。 プロジェクトの 5年目となる2022年度での活動内容は以下の通りである。まず以前から行っていた「寿命の伸長とともに、現役期間(教育、労働に携わる期間)が長くなる場合、教育や働き方がどのように変化するか」に関する研究成果が、2022年5月に、海外の著名な査読付き学術雑誌Canadian Journal of Economicsから公刊された。そしてその枠組みを利用して、長寿社会のもとでの望ましい教育政策や、所得不平等などの格差問題について考察した。また、上記の論文で構築した理論モデルでは、経済成長率を外生的であると仮定したが、その点を理論的に拡張することも検討した。これらの分析については、解析上の困難な問題に直面しているため、現時点では、まだまとまっておらず、分析を進めている途上である。ただし、リカレント教育(リスキリング)時に直面する所得や時間の制約が、人々の人的資本蓄積や、ひいては経済成長に対して大きな阻害要因になることを見出しつつある。 また、近年には経済主体を同質的と仮定せず、異質性をもつことを明示的に扱うマクロモデルが発展してきている。人口問題を考えるときにも、これは重要な要素であるため、それに関する知識の習得も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度に、プロジェクト内容にかかわるメインの成果を海外の著名な査読付き学術誌に受理される形で仕上げることができた。よって、プロジェクトの目的・意義に十分に応える研究成果は出せたと考えている。ただ、コロナ禍や、副学部長(学内での役職)の業務に割かなければならなかった時間がとても多く、研究時間を満足にとれなかったため、分析は予定よりも遅れていると考えている。そのため、プロジェクトを1年間延長したいと考える。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度には以下のことを行う予定である。 (1)2022年度に行った分析で、前述のように、分析上の難問に直面しているため、やや膠着状態に陥っている。それに対する有効な対処方法を見つけ出すことをメインに考える。 (2)前年度より行っている、異質性をもつことを明示的に扱うマクロモデルについての勉強を続け、それの応用可能性についても探る。 研究成果は学術論文の形でまとめ、それを国際的査読雑誌に投稿するとともに、国内外の研究会や学会で発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)2022度中での研究の中で分析上の困難に直面し、いささか膠着したため、想定したほどの活動をできるには至らなかった。そのため、次年度使用額が生じた。 (使用計画)論文の執筆にかかわる研究資料などの購入や研究打ち合わせのための費用に充てる予定である。
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